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橋本環奈、伝説のヒロイン“星泉”を演じ次なるステージへ「芯の強さを持った女優に……」


原作・赤川次郎による伝説のヒロイン“星泉”が、角川映画40周年記念作品『セーラー服と機関銃-卒業-』(3月5日全国公開)で復活を遂げる。

薬師丸ひろ子主演で1981年に公開されて以降、原田知世、長澤まさみといった名立たる女優たちが演じてきた“星泉”の襷を繋ぐのは、17歳現役高校生、橋本環奈。

“これまでに感じたことのない重圧でいっぱいです”

製作発表記者会見でそう語っていた橋本だったが、そんな重圧を物ともせず “星泉”を見事に演じきった。本作が初主演とは思えぬ存在感を放ち、女優としてのステージに歩みを進めた彼女が、“星泉”を演じたその先に見た景色とは――。

――橋本さんの世代だとあまり馴染みがないかもしれませんが、『セーラー服と機関銃』という作品は知ってました?

「知ってました。確かに私くらいの年代だと馴染みがない人もいるとは思うんですけど、父が薬師丸ひろ子さんの大ファンだったので(笑)。今改めて観ても、35年前の作品なのにすごくスタイリッシュで新しい感じもしてかっこいいと思いました」

――出演が決まったことをお父さんに伝えたときはどんな反応でした?

「私もこの作品で初主演をやらせていただくことになってすごく驚いたんですけど、父も大好きな薬師丸さんと同じ役をまさか自分の娘が演じるとは予想していなかったでしょうし(笑)。すごく喜んでくれました」

――クランクインの2ヶ月前からリハーサルを始めて、撮影時は群馬県高崎市に1ヶ月住み込みで臨んだそうですね。

「今回、オールロケだったんですが、1度も福岡に帰ることなくでした。現場では、“泉”とか“組長”って呼ばれていたんですけど、撮影が休みの日もずっと高崎にいることで、星泉として一定の気持ちを保てたのはすごく良かったと思います。休みの日には、高崎の商店街とか色々回ったりして街のことを知ることができたので、心から大好きな場所になりました」

――橋本さんなりの星泉像は、具体的にどのように作り上げていったんでしょうか?

「リハーサルの時から前田(弘二)監督や組員役の大野(拓朗)さんや宇野(祥)さんと、泉とはどういう性格なのかとか目高組を一緒に作り上げていく作業をしました。明確な答えが決まっているわけじゃなかったので、すごく手探り状態でしたね。しかも、撮影に入る前に監督から“リハーサルで2ヶ月間やったことは忘れてください”と言われて……。いざ撮影に入るとセットも組まれていて、武田(鉄矢)さんも加わって目高組が揃って、リハーサルの時とは180度雰囲気が違っていて、監督の仰っていた意味を感じました。メダカカフェでのシーンではアドリブもすごく多かったんですけど、リハーサルでいろんなことに挑戦していたからこそ出せた空気感だと思いますし、私たちなりの答えを見付けることが出来たのかなって」

――今回の星泉というキャラクターをどう解釈して演じたのでしょうか?

「すごく堂々としていて根底に強さを持っていながらも、普通の女子高生でいいんじゃないかなと思いました。伯父さん(榎木孝明)が残してくれた愛する街が“悪”に蝕まれていくというのは、負けず嫌いで曲がったことが大嫌いな泉はすごくイヤだったと思うんです。だからこそ、どんな人にも立ち向かっていく泉にすごく強さを感じますし、芯があって格好いいと思いますね。そういう部分が人を惹きつけるというか、人望が厚くてみんなから慕われている理由なんじゃないでしょうか」

――泉と似ている部分はありますか?

「負けず嫌いのところとか、泉に似てると思います。あまり自分で実感していなかったんですけど、最近周りによく言われるんです(笑)。あとは、こだわりを持っていたり、何事にも全力だったりするところは、すごく共感出来ますね」

――本作では“私が、この街を守る!”というキーワードもありましたが、地元愛は強い方ですか?

「私自身、生まれ育った福岡の街が大好きですし、人もすごく温かくてリラックス出来ますね。今回の舞台にもなった高崎の街の皆さんも、撮影にとても協力してくださったり、人が温かいところは似てると思います。年明けにミュージックビデオの撮影があって、久しぶりに高崎に行ってきたんですけど、とても懐かしく感じましたね。第2の故郷のような感じです」

――月永を演じた長谷川博己さんの印象はいかがでした?

「私の撮影初日のシーンが、長谷川さんと2人のシーンだったんですよ。すごく優しそうなイメージだったんですけど、現場にいた長谷川さんは“完全に月永さんだ!”と感じて。休憩中とか話をしていてもずっと月永さんのイメージしかなかったので、私も泉として長谷川さんに接していました。月永さんの義理人情に堅くて昔気質な面が本編でもすごく滲み出ていたと思います」

――その反面、冷酷でしたたかな安井を演じた安藤政信さんの印象はいかがでした?

「安藤さんとは、撮影の間は全然お話してなくて。もちろん挨拶はするんですけど、何だか近寄り難い雰囲気がありました。“俺は嫌われなきゃいけないんだよ”と安藤さんが仰っていたというのを監督から最近聞いて……、泉が安井を憎むように徹してくれていたんです。それがあったからこそ、真剣勝負がこの作品で表現出来たんじゃないかなと思います。泉がナイトクラブに乗り込むシーンでは、目の前でわざと憎たらしいようなことを言ってきたり、後ろでミラーボールを叩いたり、持ってきたボイスレコーダーを灰皿で叩いたりだとか全部安藤さんのアドリブで、ものすごい迫力で圧倒されましたが、こちらも全力で立ち向かっていこうという強い気持ちで演じられましたし、かなりリアルに撮れてたんじゃないかなと思います」

――確かに安藤さんとのシーンは鬼気迫る雰囲気が漂ってましたね。

「すごく冷酷で、話してることもちょっと危ないんじゃないかって感じるくらいのテンションで安藤さんが仕掛けてくるのをひしひしと感じました。安井役が安藤さんだったからこそ、自然に演じられたのかなと思います。安藤さんが先にクランクアップしたんですけど、その時はたくさん話ましたね」

――安井に対する“あんたらが期待してることは全てぶち壊してやる”という台詞も印象的でしたが、今橋本さんがぶち壊したいことってありますか?

「ぶち壊すというよりも、いい意味で裏切るというか周りの期待を超えてやるぞっていう気持ちの方が強いですね。毎日がすごく新鮮で新しい挑戦をしているなって実感しているので、一歩一歩目の前の壁を超えていきたいです」

――挑戦というと、本作の主題歌「セーラー服と機関銃」でソロデビューを果たしました。

「誰もが知っている口ずさめる曲だと思いますし、そんな素敵な曲をカバーで歌わせていただくということを本当に光栄に思います。オリジナルの良さを残しつつ、新しいアレンジもたくさん加わった、新しい曲として聴いていただけたら嬉しいなと思います」

――映画のタイトルに『-卒業-』とありますが、高校を卒業するまでにやっておきたいことはありますか?

「やりたいこととなると全部仕事のことになってしまうので……、学校やプライベートのことだと全然思い浮かばないですね(笑)。卒業までにとか関係なく、海外に行ってみたいですね(スタッフの顔をチラ見しながら)、南国とか(笑)」

――この作品を通して、同世代の人たちに向けてメッセージはありますか?

「やりたいことや夢はみんな違うと思うんですけど、同じ世代として一緒に頑張っていきたいです。今やりたいことが見つかっていなくても、焦らずこれから見つけていけばいいと思います。勉強も遊びもどっちも大事だし、何事にも後で後悔しないように全力でメリハリをつけて一緒に楽しんでいけたらと思います」

――薬師丸さんの『セーラー服と機関銃』をリアルタイムで観ていた世代には、どんな風に本作を観てもらいたいですか?

「この映画は、ちょっとおかしなコメディみたいな部分もあれば、激しいアクションシーンもあったり、女子高生らしい泉の学生生活も切り取られているので、学生だった当時を思い出しながら観るのもいいと思います。今回の映画では、違法ドラッグや地方の過疎化など、現代社会の出来事に特化していて現実でもありそうな内容になっているので、皆さんに親しみを持ってもらえたり、共感していただけると思います。そして、何といっても愛する街を蝕んでいくような悪い大人たちを泉が一掃するところは気分爽快になるんじゃないでしょうか。機関銃を撃つシーンは、泉も観ている人たちも“カ・イ・カ・ン”になると思うんです(笑)。ポスターにもある“気分爽快! 超絶★快感エンターテイメント!”まさにこれです!」

――昨年の製作発表記者会見では“自分らしい星泉を演じたい”と仰ってましたが、橋本版星泉のここを観てほしいというポイントはありますか?

「赤川次郎先生原作の『卒業-セーラー服と機関銃・その後』を描いているんですけど、内容もすごく新しくなっていると思います。続編とかリメイクという形とはちょっと違うので、そういった意味でも新しい星泉と思って観ていただけたら嬉しいです。見どころとしては、やっぱりあの名シーンは外せないなと思います! 最後は、誰もが予想してなかった展開になっているので、そこも注目して欲しいです」

――機関銃を撃つお馴染みのシーンでは、武田さんからアドバイスがあったそうですね。

「武田さんには本当にたくさんのことを教わり感謝で一杯です。あの機関銃を撃つシーンはこの映画の象徴とも言える最大の見どころだと思いますし、一番重要なシーンだということを誰もが分かっていて。いろんな人たちがたくさん意見をくださったんですけど、それを汲み取って頭の中で色々と考え過ぎちゃってた部分もあって。そんな時に、武田さんが“好きにやっていいんだよ”って仰ってくださったんです。その一言がすごく印象深くて“機関銃をバッと撃って『快感』って言いたくなったら言えばいいし、言う気持ちじゃなかったら言わなくていいんだよ”って(笑)。“最終的に自分が決めることなんだ”“好きにやっていいんだ”って気付けて、すごく気が楽になったんです。武田さんの言葉のおかげもあって、あのシーンが生まれたんだと思います」

――最後に、今後挑戦してみたい役はありますか? こういうところで言っておくと意外にオファーがくることもあるとかないとか……(笑)。

「いまはいろいろな役にチャレンジしてみたいです。どんな色にも変われてどんな役にも染まる女優さんってすごく素敵だなって思いますし、星泉のような愛情溢れる芯の強さを持った女優になっていけたらいいですね。ちなみに悪役にも挑戦してみたいですね(笑)」

© 2016「セーラー服と機関銃-卒業-」製作委員会

<関連サイト>
映画『セーラー服と機関銃-卒業-』 http://sk-movie.jp/
橋本環奈「感じたことのない重圧でいっぱい」、2016年春公開の『セーラー服と機関銃』続編で映画初主演! https://www.entameplex.com/archives/21749