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園子温、2016年はオリジナル作品のみ作る……原作ありきの映画と決別宣言


映画監督として数多くの作品を手掛け、さらにはアーティストとしても活躍する園子温。そんな彼が
“純粋にただの映画として観て、楽しんでもらいたい”
と語る映画「新宿スワン」。
今作は、和久井健による同名マンガを原作に園監督が映画化。今年5月に公開され見事大ヒットとなったわけだが、そんな作品が早くもDVD&Blu-rayとなって11月3日に登場する。そこで、今回は改めてその魅力を園監督に聞いてみた。すると、最後には思いもかけない発言が……。

――「新宿スワン」は興行収入10億円越えの大ヒットとなりましたが、まわりの反響はどうでした?

「ホントにおめでとうって言われましたね。個人的にはこれまでランキングで1位とかとったことなかったし、いい経験になったかなと。こういう作品を撮るなら大ヒットした方がいいとは思っていたので、それは素直によかったと思います」

――制作にあたって原作マンガは意識しました?

「ものすごく意識しましたね。もともとは原作通りにやりたかったぐらいで。ただ、脚本は僕じゃないので、そのあたりはお任せせざるを得なかったんですけど、なるべく原作に忠実にやりたいと思ってました。それにしても、もともとこういった(売れる)作品って僕が監督するものじゃないと思ってたので、まさか自分がやることになるとはって感じでした」

――今回は出演者もすごく豪華でしたね。

「サブには、これまで僕の作品に参加してくれた出演メンバーがたくさんいたのでやりやすかったし、初めて会った沢尻エリカや綾野剛くん、伊勢谷(友介)くんにしろ、みんな僕とやりやかった、園子温ならやるって感じで来てくれて。すごくやりやすかったし、楽しかったです」

――物語は新宿で活躍するスカウトマンたちの姿を描いた、ある種特殊な世界ですけど、監督はそういった世界には共感できます?

「まったくしないですね。憧れもない(笑)。10代、20代のときなら金も底をついてたし、そういう世界に飛び込むのもアリかなと思うけど……でもやっぱり憧れはしないかな。そもそも僕は縦社会が嫌いなんですよ(笑)。ただ、歌舞伎町には馴染みが深くて、東京に出てきてすぐのころは新宿でよく遊んでました。綾野くんたちのアジトのあたりでは、当時しょっちゅうケンカを売られたし。撮影中に思い出したんだけど、ちょうどあの辺でボコボコにされたこともあったんですよね……今となってはそれもいい思い出ですけど。新宿の思い出っていうと、そういったドギツイのしかない(笑)」

――でも、今は新宿の街並もだいぶ変わっちゃいましたよね。

「そうですね。でも、僕はそういうものだと思ってるので。仕方ないですよね」

――今回はそんな新宿で撮影していたわけですが、印象に残ってるシーンは?

「雨の中で山田孝之と綾野剛が戦うシーンとかは、裏通りで2人とも転んだりしてるなか、ワンカットで延々撮り続けていて。ものすごく危なっかしい撮影だったし、見ていてハラハラしたけど、できあがった映像はすごく迫力があっていいシーンになりましたね。あとは、歌舞伎町で沢尻エリカが裸足で綾野くんと駆け抜けていくところとか」

――あれは象徴的ですね。なかなか映画では見ることのないシーンでした。

「リスクが高いからね。まず裸足はないし、新宿も避けるだろうし。暴挙なんですけど、あのときは僕と沢尻と綾野くんが超ノリノリだったっていうこともあって……」

――ノリノリだったからってできるものではないと思いますけどね(笑)。

「一応、予備策としてその前に浜松でも撮ったんですよ。でも、やっぱり違うってなって。2人もそう言ってくれたから歌舞伎町で撮ったんです。当日は一発本番で一気に撮り始めたんですけど、通行人もわけわからなかったんじゃないかな。沢尻みたいな子があんな姿で走ってるなんて衝撃的だったと思います」

――今回、DVD&Blu-rayとなってリリースされるわけですが、改めて見所を教えてもらえますか。

「鳴り物入りで公開されるときって、みんなちょっと斜に構えるというか、肩肘はって構えて見ちゃうと思うんですけど、DVDならもっと楽に観れると思うんです。そうすると意外と面白いというか、公開からもちょっと時間がたって普通に観れると思います。宣伝とかに惑わされることなく、純粋に1本の映画として見て、楽しんでもらえればなと。それが今回僕が目指したところでもあるので」

――娯楽作品として観てほしいと。

「そう。あんまり考えずに、自宅でビール飲みながら観たらめちゃくちゃ面白いと思うので。映画館で観てない人も気合い入れて観るんじゃなく、気楽な感じで。本当にただの娯楽映画なんで楽しんでもらいたいです」

――「新宿スワン」に関しては、単純に楽しんでもらうために作ったわけですね。

「作品ごとにポリシーは違ってて、この作品に関して言えば、僕は今まですごく奇抜なことをやってきたので、そうじゃないものを作ってみようと。この映画は、一風変わったデザイナーズマンションじゃなくて、見た目は普通だけどお年寄りから子どもまで誰もが快適に住めるようなものを目指していて。それがうまくいっていればいいなって思ってたんです。だから、自分らしさを出そうとかそういうのはなくて。そういったことは作品ごとに変わりますよね」

――監督は、これまでたくさんの作品を手掛けてきましたが、今後撮ってみたいものとかありますか? 過去には話がきたものは全部受けるみたいな発言もしていましたが。

「実は、その時代は終わりつつあって、来年は変わるんですよね。年内にもう1本原作ものがあるんですけど、それ以降は原作ものはやらなくなるだろうし。オリジナルだけになると思います」

――それは、自分の表現を突き詰めていくということ?

「というか、僕の場合は全部実験なんですよ。『新宿スワン』のような大作はやったことなかったので、そういったものをやってみたかった。一度やってもう気が済んだので、同じことはもうしないかなと」

――ある意味やり尽くした、達成感があったわけですか?

「そうですね。ただ、『新宿スワン』がもしコケてたら……“チクショー”と思って、もう一度大作をやらなきゃいけなくなったと思うんだけど……まあうまくいったし(笑)」

――となると、来年はこれまでとはまた違った園子温が見られるわけですね。

「来年はですね、今年もやったんですがアートの個展をより大きな形で開く予定だし、映画もまた新しいものを作っていくことになると思いますね。日本映画という小さな世界、ジャンルでものを考えるのではなく、もっとデカイところで人間力を付けていきたいですね」

――人間力というのはものづくりの面で?

「それもあるし、人格形成の部分でも。あまり小さくものごとを捉えるんじゃなく、どんどん広くなりたいなって思ってます。それで、最終的には園子温を完成形に持っていければと」

――それは、自分でもまだまだ可能性を感じているということですか?

「わからないけど、いろいろなところに寄り道しながら、そのリファレンスでより大きくなれるといいなと思ってます」

映画「新宿スワン」のDVD&Blu-rayは、11月3日(火・祝)リリース!

発売元:講談社/ハピネット 販売元:ハピネット
©2015「新宿スワン」製作委員会

<関連サイト>
映画「新宿スワン」 http://shinjuku-swan.jp/
綾野剛「最初の一歩」に喜び、映画「新宿スワン」のジャパンプレミア開催 http://www.entameplex.com/archives/20486