Entame Plex-エンタメプレックス-

本田翼&山本美月インタビュー! 映画『少女』で魅せた女優としての新たな一面


読んだ後にイヤな気分になるミステリー、通称“イヤミス”界の女王とも称される湊かなえの『少女』が実写映画化され、絶賛公開中だ。
今作は“人の死を見てみたい”そんな危うい衝動や、17歳の少女たちの心の中に潜む“闇”を、艶美かつ繊細に描いた禁断のミステリー。

由紀役を本田翼、そして敦子役に山本美月と、モデルに女優に今をときめく2人が、今までにない体当たりの演技を魅せている。劇中に緻密に張り巡らされた伏線とトリック、物語が進むにつれ点と点が巧妙につながっていく衝撃のラストまで、本田と山本の新たな一面を引き出した三島有紀子監督の手腕光る仕上がりは今秋注目の一作に。そんな今作の魅力を、本田と山本の2人が語ってくれた。

――これまでにも2人での共演はありましたが、改めてお互いの印象はいかがですか?

山本美月(以下、山本)「翼ちゃんと共演するのは今回で4回目なんですけど、初めて共演したのは翼ちゃんが主演のドラマに少し出演したときで、そのときは“翼ちゃん、ものすごく疲れてるな~”って印象でしたね(笑)」

本田翼(以下、本田)「目の下がクマだらけだったときだね(笑)。わたしは、美月ちゃんの印象が強かったのは『安堂ロイド~A.I. knows LOVE?~』(TBS系ドラマ)のときで、“すごく真面目な子なんだろうな”って思っていました」

山本「共演はするけど、あまり(シーンで)絡みがなかったし」

本田「やっと今回、こんなに一緒にお芝居ができて嬉しかったです」

山本「いわゆる“はじめまして”のような微妙な空気感はなかったし、すぐに仲良くなって。それまで、あまりちゃんと喋ったことはなかったけど、お互いに不安に思っていることやイヤだなと思っていることも、素直に正直に何でも話し合ったりしましたし、ものすごくやりやすかったです」

――お互いの芝居で触発される部分などありました?

山本「それぞれまったく違う人格だったので、今作に関してはお芝居をするというよりも、お互いが由紀と敦子にずっとなりきっている感覚でした。ですので、お芝居の技術的な部分を見合うというのはなかったです」

本田「劇中と同様に、現場ではすごく助け合いましたね。わたしは最後のシーンで敦子が泣いてるのを見てすごく感情を揺さぶられて……。美月ちゃんのお芝居に助けられることが多かったです」

――2人の表情や佇まいがこれまでのイメージとは真逆で印象的でした。それぞれ演じた役どころについてはどうでしたか?

本田「わたしは高校生のころ結構一匹狼タイプだったので、演じた由紀のように孤立しようとして孤立しているわけじゃないあの感じがとても分かるし、不器用だったりするところもあって共感する部分もありました。でも、わたしは“死ぬ瞬間を見てみたい”と思ったことはないですけど、何かを知りたいと思ったら動き出してしまうところや大切な親友を想う気持ちとか、自分に近いと思うところもあるなって」

山本「わたしはモデルのイメージが強いのか、明るい感じの女の子や女性に嫌われそうなブリッ子な役をいただくことが多いんですけど、そういう雰囲気の役よりもむしろ敦子のほうが自分に近いなと感じます」

――例えばどんなところでしょう?

山本「高校時代には仲のいい友達に執着したりもしていましたし、周りの目を気にしていた部分もあったり……どちらかというとよく演じるキャラクターよりも、自分では敦子のほうが近いかなという気がします」

――自分に近い役というのは、演じやすいですか? それとも演じにくい?

山本「近いといっても別の人格なので、それはどの役をやる演じるときも一緒かなぁ」

本田「明るい女の子役も今回の由紀のような女の子も自分に近いから、わたしは毎回苦労しちゃってますね」

――印象に残っているシーンはありますか?

山本「作品自体がすごく重たいですけど、全編通して好きですね。役作りとしては剣道や潜水の練習をしました。なかでも疾走するシーンはキツかったです。本当は、倍の倍の倍ぐらい走ったんですけど、それはカットされていて(笑)」

本田「ホントきれいにまとまってたよね(笑)」

山本「精神的な面だと敦子はすごく感情の起伏が激しい子なので、最初に感情をガッと出すところが保健室でのシーンだったんですけど、あのシーンはかなり不安で三島(有紀子)監督に寄り添ってもらって、何とか演じることができました。『ヨル(夜)の綱渡り』を読むシーンでは、稲垣(吾郎)さんがずっと付き添ってくれて、時間をかけてじっくりと撮っていただきました」

――本田さんはどうですか?

本田「わたしはモデルルームのシーンですね。あの怒涛の流れは一生経験することないんじゃないかなって……」

山本「わたし、あのシーン“キャーッ!”ってドキドキしながら見てたよ(笑)」

本田「でしょ~!? わたしずっと鳥肌立ってたもん(苦笑)」

山本「翼ちゃん、際どいシーンも多かったもんね」

本田「ラブホテルのシーンも……」

山本「あのシーンも“キャーッ!”だよ」

本田「わたし、病院でのシーンもそうだけど、場所的に印象に残るシーンが結構多かったですね」

――そういう意味でも撮影で大変だったことも多かった?

山本「毎日イジメられるシーンだったり……」

本田「剣道の回想シーンもキツかったね。美月ちゃん以外あまり絡む機会もなかったから、現場で一緒になると“あ、今日は美月ちゃんいるなー”って、すごく安心感がありました」

山本「“昨日の現場でこんなことあったんだよー”って、お互いに現場の報告をし合ったよね」

――最近のイジメは、LINEで送られてきたりするんですね……精神的にきそうです。

山本「三島監督は最近の学校でのイジメとかもちゃんと調査したらしくて、ものすごくリアリティがありました」

本田「女の子がネチネチとイジメる陰湿な感じとか、すごくリアルで怖かったです」

――2人は自分が17歳だったころどんな学生でした?

本田「わたしはもう(モデルの)お仕事をしていました。17歳って少し大人になってきている部分もあるけど、未成年だからできることが制限されていることも結構あったりするし、ちょっと独特な年齢ですよね。よく分からないけど何かにイライラしたり、不満を抱いていたりすることもあって(笑)。今思うと不思議な年齢ですね」

山本「わたしも事務所には所属していたんですけど、『CanCam』のモデルをはじめたのが高校3年生の夏からだったので、17歳のときは福岡の女子高に普通に通っていました。今回の役と同じように割と規律が厳しい学校で演劇部に入っていたんですけど」

――ということは、17歳のときに既にお芝居に興味があったんですね。

山本「お芝居はあくまでも趣味として部活に入っていただけで、当時はそれをお仕事にしたいとはまったく考えていませんでした。毎日同じことの繰り返しで“つまんない!” と思っていたんですけど(笑)、『CanCam』モデルをすることが決まって、モデルの先輩方に女優になる人もたくさんいたので、いつかわたしもお芝居ができたらいいなという気持ちに変わりました」

――色々な経験を重ねた20代半ばの今だからこそ演じられた17歳なのかなとも感じました。

山本「今回の作品は本当にそうだったと思います。17歳のときにこの役を演じたとしても、あの狭い空間は表現できないかもしれないですね……その世界がすべてって思っちゃてるから。きっと最後の台詞が言えなかったと思います」

本田「美月ちゃんの言う通り、17歳のときだと演じきれなかったと思う。客観的に自分が17歳だったころを思い出したりして役に投影できるのは、今の年齢になって演じるからこそなのかなって」

――そんな17歳という女性の一番難しい年ごろを描く上で、今回は女性監督ということで湊さんの原作の世界観が女性ならではの目線でしっかりと反映された作品になっていますね。

山本「この作品は、女性の監督が作ったというそのものが詰まっていると思います。現場での距離感も女性同士ということもあって、体が触れ合うくらいに隣で寄り添ってくれて。催眠術をかけるかのようにいろいろと話してくれました。その距離感って女性の監督ならではですし、男性の監督にそんなにひっつかれたら“ちょっと……”って思っちゃう(笑)。衣裳に関しても女性ならではのこだわりをすごく感じましたね」

本田「今回の作品は女性監督だったからこそ、より説得力が増した部分も多々あったんじゃないかと思います」

――演じる上で心がけていることはありますか?

山本「監督の要望に100で応えたいという気持ちを持っていつも臨んでいます。今回の作品は特に今まで演じたことのない役柄だったので、これを演じきったら“もっと世界が広がるかも”“また魅力的な役柄に出逢えるかもしれない”っていう気持ちがありました。湊かなえさんの素敵な作品でとても大切な役をいただいたので、“これはやりきらなきゃ!”と」

本田「今まで演じたことのない役柄だっただけに、気持ちは燃えましたけどかなり悩みました。限られた時間の中での撮影ですが、自分の中で“今のはどうかな……ちょっと違うよな” と感じたら、監督に“もう1回いいですか?”って素直に言いました。手応えってなんなのかいまだによく分からないですけど、毎回体当たりでやっています」

――2人とも女優として多くの作品を経験されて、成長した部分も感じているのでは?

山本「最初は自分のことでいっぱいいっぱいだったんですけど、スタッフさん元気ないなとか、少しずつですけど周りが見えるようになってきて……、でも逆に周りが見えるようになってきたからこそ緊張することもあって。主演をさせていただく機会も増えてきて、自分のことを周りからはどういう風に見られているのか、自分はしっかり主役を張れているのか、みんな楽しく現場に来れているのかとか、みんなのことが心配になっちゃう部分も増えて……。でもこの作品を乗り越えたらもう少し成長できるのかなと感じています」

本田「わたしも女優の仕事を始めた時期が美月ちゃんと結構近いんですけど、始めたばかりのころはとにかく怖かったし、自分がうまく出来ているのかもよく分からず、ただがむしゃらに突っ走ってきました。今は少し落ち着いて周りが見えるようになってきましたが、お芝居だけじゃなく、立ち振る舞い方やスタッフさんへの気配りとか、考えなきゃいけないことや頑張らないといけないことがたくさんあって……。今も課題はどんどんと増えてばかりです(苦笑)」

映画『少女』は、全国公開中!

© 2016「少女」製作委員会

Photo by 竹内洋平

<関連サイト>
朝ドラ『べっぴんさん』ヒロイン・芳根京子インタビュー! 「“思いを込めて”大切に丁寧に演じたい」
https://www.entameplex.com/archives/32026

久保田利伸がEXILE ATSUSHI、JUJU、キョンキョンら豪華アーティストとのコラボベスト盤をリリース!
https://www.entameplex.com/archives/32293

今年のハロウィン注目の人気コスプレ予想! コスプレ映画ランキングベスト5
https://www.entameplex.com/archives/32275