横山剣インタビュー「思い切りやれたのは野外ならでは」
9月2日、クレイジーケンバンドのライブ「クレイジーケンバンド結成20周年記念スペシャルライブ 20TH ATTACK! CKB[攻]」が横浜赤レンガ野外特設ステージで開催された。結成20周年を記念したライブは、まさにオールタイムベストと言えるセットリストで臨んだスペシャルな内容となった。
このライブの模様が11月19日(日)にWOWOWで放送されることが決定! そこで今回、横山剣にライブを振り返ってもらった。
――まずは今回のライブのテーマ、コンセプトは?
「バンドを結成したのが37歳。そこからスタートしての20年ですが、随分早かったような気がします。でも、“20年やったぞ”というよりは、ここからルーキーになったような気持ちで攻めていこうという気持ちなんです。なので、タイトルの中に[攻]という言葉を使いました」
――新たなスタートという意味でも、20周年は大きな節目となりそうですね。
「そうですね。バンドって続けていくのが難しいですよね。長く続ける秘訣とかはないんですが、その瞬間瞬間燃え尽きる感じで、先のことを考えないでやってきたからこそ20周年を迎えることができたのかなと思います」
――ライブが行われた横浜赤レンガは馴染みの深い場所だと思いますが。
「船が見えるし、ベイブリッジも見える。もちろん赤レンガもすぐ隣にありますし、横浜のいいとこ取りのロケーションですね。ライブをやるのにも最高のシチュエーションです。20周年記念のライブをこんなところでやれるのは本当に嬉しいことですね。ちょうど赤レンガのリニューアル15周年と重なったことで、ラッキーなことにここでやらせてもらうことができました」
――前日までは台風の接近に伴い雨の予報にもなっていましたが、当日は見事に晴れました。
「ハラハラしました(笑)。CKB(クレイジーケンバンド)は雨男が多いんです。2009年にヒドイ目に遭いましたので、“またか!”と思ったんですが、台風の進路が逸れて、だんだんと天気が良くなって安心しました。そういう点で、野外でのライブというのはなかなか勇気が要るわけです。晴れてうまくいけば最高ですが、雨に降られたら最悪になりますからね(笑)。一か八かの攻めに出たわけですが、まずここで一つ勝負に勝った気分!」
――今回どのようににセットリストを組まれましたか?
「今最も脂が乗ったCKBを見せられる曲、ちょっと埋もれていた曲だけど今だったらもっと愛されてもいいんじゃないかと思う曲を選びました。もともとヒット曲はないんですが(笑)、8月に出したベスト盤もいわゆるシングルコレクションではなく、今だったら輝けるんじゃないかと思う曲や無理にでも今輝かせたい曲を収録したわけです。今回のライブも同じで、リリースした当時はちょっとピンボケしてた感じがあったかもしれないけど、今の時代にピントが合ってる曲があると感じたので、そういう曲もたくさん盛り込みました」
――CKBには横浜を舞台にした内容の曲も多いですし。
「今回のライブでも横浜関連の曲をちょっと多めに入れました。あと、『シンガプーラ』などアジアが舞台のエキゾチックな曲も演奏しましたが、横浜はもともとミクスチャーカルチャーの街なので、そういうことも踏まえた選曲になった気がします」
――ライブの演出も印象的なものが多かった。まずはオートバイに乗っての登場で会場が沸きました。
「いつもオートバイで登場したいぐらいなんですけど、屋内だとそうはいかないので、思い切りやれたのは野外ならではですね。この登場した時は「これからステージが始まる」という緊張感よりも、“ステージへの坂を登る時にエンストしたらどうしよう?”とか、そっちのドキドキ感がありました(笑)。エンストせずに、ステージまで一気に走りきった時、それを克服できたということで心も軽やかに1曲目を歌うことができました(笑)」
――その颯爽と走る姿を見て、ファンの人たちも「今日はいいライブになる」という予感というか、確信を持てたような気がします。
「そうですね。朝はまだ雨が降っていて“どうなるのかな?”って思ったりしたんですが、だんだん青空が見えてきて、開演する時には雨の心配もなくなって、僕も興奮してきてました。そういう時って、根拠もないんですが、説明のつかない“いい予感”がして、ステージに着いた時は僕も“いいライブになる”という気持ちになりました」
――ステージ上にはマーライオンが2体設置されていました。
「なんでステージにマーライオンを置いたのか。慰安旅行と撮影を兼ねてメンバーとシンガポールに行ってきたんです。もともと気持ち悪いぐらい仲がいいバンドなんですが、一緒に飯を食ったり、寝起きを共にして、観光もして、さらに仲良くなりました。そういうことも全部含めて、象徴的なシンボルとしてマーライオンを置いたんです…なんて言いましたが、これといった理由は特にありません(笑)。理由づけなんて後からいくらでもできますけど、大体が“こうしたらいいんじゃないか”ってフィーリングで決めてしまうことが多いですから。曲作りもそうなんですけど、予感のする方に進めていくと意味になるという感じでやってきました。あとから辻褄が合ってきたりするので、これからも懲りずに予感、直感にしたがって進んでいこうと思っています(笑)」
――今回、たくさんのゲストがステージに登場されました。
「RHYMESTERはそのあとラジオの生放送があるにも関わらず、20周年のライブのために来てくれて2曲もやってくれました。『肉体関係part2』は、もともとはラップじゃないインストゥルメンタルの『肉体関係』という曲があって、2002年に彼らがそれにラップを付けてくれたんです。思わぬスマッシュ・ヒットになって、僕らもそのおかげでチャートインできたので彼らに足を向けて眠れません(笑)。キング・オブ・ステージと呼ばれるだけの素晴らしいステージを見せてくれました。Full Of HarmonyはRYMESTERの『ウワサの真相』というアルバムのタイトル曲にフィーチャリングアーティストとして参加していて、そのアルバムのツアーを観に行った時にハーモニーとブラックミュージックの要素がかっこいいなと思いました。それが彼らの歌を初めて生で聴いた時でしたね。DOUBLEさんの『handle』という曲にも参加していて、その曲もすごく好きだったので共演できてよかったなって思います」
――そしてI.S.O.P.のISOさんやIKURAさんも。
「ISOも横浜を拠点に活動しているんですが、タイやL.A.など海外でも評価の高いラッパーです。彼とも付き合いは長いですね。IKURA君は30年来の悪友です(笑)。彼とは車やサーフィンといった遊びから入った感じで、もちろん音楽やカルチャーに関しても共通点がたくさんありました。好奇心をくすぐるものに熱くなれる友達です」
――アンコールでは、CHIBOWさんとFIRE BALLも登場しました。
「CKBのライブの前にDJで盛り上げてくれたMIGHTY CROWNもそうなんですけど、FIRE BALLも徒歩圏内に住んでいる仲間です。世界を揺るがすサウンドでレゲエシーンを支えてきましたし、海外での活躍も物凄いですね。でも、横浜に帰ってくるとちゃんと横浜サイズに戻るから面白いんです。スケールを変幻自在に変えられるところも彼らの魅力ですね。FIRE BALLはレゲエだけどレゲエファン以外にも響く高い音楽センスでアピールできるのが彼らの強みだと思っています。CHIBOWさんは1960年代から活躍してる地元の大先輩で、うちの第2ギター/第2キーボードの新宮寅児はそのSKA-9というバンドのメンバーでもあるんです。CHIBOWさんが一番上で、その下に僕ら、さらにその下にFIRE BALLやMIGHTY CROWNがいて、本牧三世代で“本牧ルーディーズ”という、会というわけじゃないんですけど、年に数回会って“それぞれの分野で頑張ろう”って飯食ったりするだけですが(笑)、そんな感じで集まったりしています」
――見どころ満載のライブとなりましたが、今、振り返ってみてどんなライブになりましたか?
「すごく自信になりましたし、このライブがやれたことでこの先転がっていく方向も見えたような気がします。今しか出来ないことを今やることが重要だと思いましたし、後世に残すとか意識せずにやっていけば、それが後々メモリーとなる。今が最高! というのが一番ですね」
――11月19日(日)にWOWOWでこのライブの模様が放送されます。視聴者に向けて見どころとメッセージをお願いします。
「自分のライブの映像は“もう観たくない”というものも過去にはありましたが(笑)、編集前の映像を観せてもらったんですが、これは何回も観ちゃいました。ゲストコーナーなど、観ていたらあっという間に最後まで進んでいた感じでした。テレビを通じても、相当楽しめると思いますのでぜひぜひ楽しんでいただきたいと思っています」
――最後に、今後CBKとしてやりたいことは?
「ライブに関してですが、ダンサーを入れてみたいですね。動きによってグルーヴがさらに増すと思うんです。バンドメンバーも動きながら演奏してますけど、ダンスに特化したダンサーがいるとまた違った見せ方ができるんじゃないかなって。ただ、今の状態でもステージ上に11人いますから、これ以上増えても大丈夫なのか? という心配はあります(笑)。全曲じゃなくても、何曲かダンサーが加わる曲があるだけでも変化が見えて良さそうですよね。去年もやりましたけどストリングスを入れるとか、やってみたいと思ったことは妥協せずにやる。それは今後も変わらない考え方です」
20周年記念のスペシャルなライブの模様は11月19日(日)夜9時からWOWOWにて放送。
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