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竹野内豊が突きつける“家族”とは――衝撃の話題作『at Home アットホーム』インタビュー


俳優として20年を超えるキャリアを誇りながら、今もなお、「まだ演じたことのないような役にどんどんチャレンジしていきたい」と語るのは、竹野内豊。彼が主演を務める現在公開中の最新作『at Home アットホーム』は、一見幸せそうな家族が、実は血縁関係がなく、それぞれが虐待、性暴力、DVなど、決して振り返りたくはない過去を持つという“ワケあり”偽装家族の物語。

そこで、竹野内は空き巣泥棒で生計を立てている父親・森山和彦を演じており、彼が盗んだものは、なんと「家族」。そんな前代未聞の複雑な役を演じて感じたこと、そして本作の大きなテーマである“家族”について、竹野内に心の内を語ってもらった。

――本作のオファーを受け、最初に台本を読んだときの印象はいかがでしたか?

「最近、ニュースなどを見ていても、家族同士が傷つけ合ったり殺し合ったりとか、あまりにも非現実的なことが当たり前のようになっている時代でもあるので、そういう意味では今の時代に合っているのではと感じました」

――今回、竹野内さんが演じた父親・森山和彦は、一見家族に見えて実は誰ひとり血縁関係がない偽装家族という複雑な設定でしたね。

「和彦を演じる上で唯一の救いだったのが、希望が見出せる物語だったこと。共感できる部分があったことがすごく大きかったですね。こういう時代だからこそ、“暗い作品はあまり観たくない”って感じている人たちがきっと多いと思うんです。この作品は、決して笑える明るい物語ではありませんが、こういう映画が今ひとつくらいあってもいいんじゃないかと。この作品を観ていただく方たちに、父親としての説得力を持たせるためにも、まず和彦という男のバックボーンを把握していく作業をして撮影に臨みました」

――本作で和彦を演じてみて、“家族”というものに対するイメージに変化はありましたか?

「僕だけでなく他の出演者やスタッフ、この作品に関わったすべての人たちが“家族とは何か?”を考えたと思うんです。でも、おそらく明確な答えは出てこない。自分で演じながらも考えさせられた作品でした。この作品は、“家族”とは何なのか、逆に答えを出してしまってはいけないというか……、物語の本当の始まりはクライマックスのその先にあるという、ある意味、意地悪な見せ方をしているんです。すべて観終わったときに、それぞれの心の中に残る余韻であったり、心の中に映った“この家族の行く末”をどうイメージするのか、とても考えさせられる作品になっています」

――森山家が事件に巻き込まれ、和彦が決断を迫られるシーンがありましたが、家族を取り戻すべく和彦の取った行動がとても印象的でした。

「この家族の在り方は、社会的に許されないというか……和彦もきっと心のどこかでは矛盾を感じつつ、この家族をずっと守ってきたと思うんです。あのシーンでは、和彦がそうすることでしかこの家族を守ることができないと感じたんじゃないかと思います。傍から見るととても幸せそうに見えて実は血のつながっていない家族が、ひとつの事件に巻き込まれて、そこから(森山家)ひとりひとりのバックボーンが見えてきて、ひとりふたりと増えてひとつの家族として人が繋がっていくさまが、この作品の見どころなんじゃないのかなと思います」

――そんな本作に出演してみて、まわりからの反響はいかがでしたか?

「この作品を観た方々からは“今までとは、ちょっと雰囲気が違うね”とか“(役の)幅が広がったね”って言っていただいて嬉しいかぎりですが、何か特別な事をやったわけでもないので、今までやってきたことと何が違うのか、自分の中では実はあまり分かっていなくて。これまで、いい人の役やエリートの役をいただくことが多かったんですが、今回演じた役のように、もっと違うところに飛び込んでみたいという気持ちはあります」

――違うところというと、例えば?

「やりたいことは本当にたくさんありますが、例えばサスペンスの中にちょっとしたアクション的な要素のあるものであったり……。こう見えて中高生のときに器械体操をやっていたので、意外と身軽だったりするんですよ。じーっとしていてあまり動かないイメージがあるみたいですけど(笑)」

――仰るとおり、動き回るイメージはあまりないかも……ですね(笑)。

「だから、友達からも“いきなりバック転とかやるようには思えない”って言われたり、走ったりしただけでも“あっ! 走ってる”って(笑)。そんなイメージもあってか、ちょっと変わったことをやるだけで、すごいことのように思われたりすることが多くて……」

――確かにアクションをする竹野内さんは見てみたい気がします。今後は役者としてどんな道を歩んでいきたいですか?

「自分が俳優としてまだまだ駆け出しだった頃、親戚のおじさんに“いつか悪役ができるようになったら一人前だ”と言われたことがあって……、そういう役をやってみたいという気持ちもありますが、だからといって安易な気持ちではやりたくない。何かそこに理由があって、自分が求められて必要に迫られたときに、いつか演じてみたいです。表現の場やチャンスをいただけることだけでも、すごく恵まれていることだと思いますが、今回の和彦役のように、まだ演じたことのないような役にどんどんチャレンジしていきたいです。探究心というか、そこでまた新しい人達と出会って、新たな自分を発見してみたいというのが本音ですね」


配給:ファントム・フィルム+KATSU-do
©映画『at Home』製作委員会

<関連サイト>
『at Home アットホーム』 http://athome-movie.com/
“家族”とは――竹野内豊主演作『at Home アットホーム』に絶賛コメントが続々到着 http://www.entameplex.com/archives/22927