Entame Plex-エンタメプレックス-

東出昌大が涙した俳優・根津甚八の手紙「演じることは生きることそのもの」


9月26日、都内にて映画「GONIN サーガ」の公開初日舞台挨拶が行われた。

同映画は、1995年公開の映画「GONIN」の正統続編にあたり、前作同様、最初から最後まで息つくヒマもない怒涛のバイオレンスシーンが展開する。俳優業を引退した根津甚八が一度限りの復活を果たすなど、話題も満載だ。

会場には、主演の東出昌大をはじめ、桐谷健太、土屋アンナ、柄本佑、安藤政信、福島リラ、竹中直人らキャストに加え、前作「GONIN」に続きメガホンを執る石井隆監督が登壇した。

最初のひと言あいさつでマイクが渡ると、安藤は「今日、無事に初日を迎えられて……」とボソボソつぶやいた。見かねた桐谷が「マイクもうちょっと近ずけて!」とツッコむと、安藤は「すいません。昨日3時くらいまで飲んでて。お酒が入っててうまくしゃべれないです。すいません……」と釈明し、笑いを誘った。

する柄本もそれに釣られたのか、石井監督の作品に関わった感想をたずねる質問では「え~と……ちょっと待ってくださいね。考えていたんですけど聞いてたら忘れちゃった。監督からカンカンカンカン……」と、グダグダな状態に。

桐谷が「ちょっと! みんな、飲んでんの!?」と思わず声を大にすると会場は大爆笑。

竹中は、石井監督とは25年の付き合いとのことだ。竹中は「最初会ったときは『なんだ、このイジけたオッサン』って感じで。すぐイジけちゃうのが最高に好きになっちゃって。抱きしめたくなる変なオッサンなんですけど(笑)」と当時を振り返り「おめでとうございます」と石井監督に向かって頭を下げた。

笑いの絶えない舞台あいさつだったが、中盤のサプライズから雰囲気は一変した。司会が「お手紙が届いています」と1枚の紙を渡すと、東出は困惑のまま受け取り固まってしまう。それは根津甚八からの手紙だった。

東出の代読によると「演じることは自分にとって生きることそのものでした。それができなくなり、引退はあきらめでもありました」と書かれており、「あきらめていた自分に再び演じることの楽しさを味あわせてくれた監督に心からお礼を申し上げます」と続いていた。

闘病生活のすえに俳優業を引退した根津だが、東出や若い声優たちが「タスキを受け取った」姿を現場で見たことで、演技のできない無念を断ち切ることができたという。読み終えた東出はしばらく沈黙し、目に涙を浮かべて「今後、心血をそそいで僕らも役者がんばるので。本当に根津甚八さん、ありがとうございました」と声を震わせた。

竹中も「何度か作品をご一緒させていただいたんですが、全然敵わない。色気があってたまらなく素敵で…。本当に素晴らしい。尊敬すべき俳優だと思います」としんみりコメントした。

手紙の最後に根津は、「生きていた氷頭(根津の役)と、根津甚八を見届けてくださったことに感謝いたします」とつづっている。

映画「GONIN サーガ」は、TOHOシネマズ新宿ほかにて全国公開中。
©2015「GONIN サーガ」製作委員会

<関連サイト>
映画「GONIN サーガ」 http://gonin-saga.jp