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「家族はつらいよ」は寅さんのもうひとつの物語…山田洋次監督がタイトルに込めた想い


1月19日、都内にて映画「家族はつらいよ」完成報告会見・完成披露試写会が行われた。

完成報告会見には、橋爪功、吉行和子、西村雅彦、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優らキャスト陣、そして、山田洋次監督が登壇した。今作では、山田監督がメガホンをとった映画「東京家族」(2013年)で一家を演じたキャストらが再集結。今回は、熟年離婚をテーマに家族のドタバタ劇をコミカルに表現し、笑いがたっぷりとつまった喜劇となっている。

実はこの物語、「東京家族」の撮影時に蒼井が山田監督に話したある夫婦のエピソードがきっかけで制作されたという。蒼井によると、その夫婦の夫は妻の誕生日に何が欲しいかを聞いたらしい。すると、妻は「離婚届にハンコが欲しい」と返したというのだ。

山田監督は「この話を聞いてびっくりしてね。待てよ、そこから始まる映画ができるんじゃないかな、と。だから本当は『原作・蒼井優』にしなきゃいけなかったんじゃないかな」と語った。すると橋爪は「さっき楽屋で蒼井優が、監督に『これから私のこと先生って呼んで』って(笑)。あいた口が塞がらなかったよ!」と暴露し、本物の家族さながらの仲のよさを披露した。

また、タイトルに込められた想いについて山田監督は「家族の物語を描こうと思ったとき(『男はつらいよ』シリーズの)寅さんを思い出した。あれは家族のなかに困った男がいて、みんなで悩んだりケンカしたり笑ったり泣いたりするんだよね。今度は家族全体を眺めてみた。テーマとしては同じなんじゃないか、と思って、あえて(タイトル『男はつらいよ』)をマネた」と明かし「まあ、自分の映画だからマネしてもいいんじゃないかと思っているんですけど」と笑いを誘った。

「東京家族」では、“よき妻”を演じた吉行だが、今作では家庭に嫌気がさして離婚を切り出す役だ。

この演技を見た夫役の橋爪は「怖かった」「いまでも怖い」とのことだ。

橋爪と吉行はこれまでも夫婦役を演じることが多いが、当の吉行は「いかに気に食わないかってところを言い立てるシーンがあって、そのセリフなんかあまりにも面白くてすぐ覚えちゃった。言っているととても気持ちがいい」とあっけらかんとした様子だった。

妻夫木と蒼井は、劇中で恋人同士を演じる。蒼井は、妻夫木と10年来の知り合いであることを告げ「そんなにプライベートで会ったりする仲ではないんですけど、知り合ってからの年月が婚約者同士を演じるにあたって芝居に生きたように感じた」と述べた。

その後の完成披露試写会には、林家正蔵を除くキャストや山田監督が再び登壇し、試写会に訪れたお客にあいさつをした。

その後に行われた完成披露試写会で、山田監督は「映画が始まる前に私語を交わさないでください、とかテロップが出る場合があるんですよね。あとは、前の席を蹴っ飛ばさないでください、とかね。ああいうのは、僕はあまり納得しませんね。お金払って入ったんだから、大声あげて笑ったっていいじゃないか、面白かったら隣の連れと語り合っていいんじゃないかと思う。どうぞ、皆さん、この映画はにぎやかに私語を交わたりしながら観て欲しい。心からそう思います」と観客に呼びかけ、場を締めくくった。

映画「家族はつらいよ」は3月12日(土)より全国ロードショー。

© 2016「家族はつらいよ」製作委員会

<関連サイト>
映画「家族はつらいよ」 http://kazoku-tsuraiyo.jp