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KREVAプロデュースのエレクトロポップユニット:JMCが新境地に挑む 「お茶の間にEDMを」


JMC(ジュミッチ)は、トラックメイカー・ラップ担当JUMPEIとトラックメイカー・ボーカリストMicchiyのふたりで結成した福岡出身のエレクトロポップユニット。2015年8月には、初となるミニアルバムを発売し、リード曲『納豆 ON THE RICE』がスマッシュヒットを記録。“食べ物系”EDMアーティストとしての地位を築きつつある。

「ノリがすべて」「中身のない曲」などと公言してきた彼らだが、2月17日にリリースするニューシングル『みそしるママ らいすパパ』では新境地に挑戦。KREVAプロデュースのもと、家族の絆を歌うメロウで心あたたまるこの1曲は、JMCにどんな影響を与えたのか。エンタメプレックスは、彼らに今回の曲に込めた思いやこれからの展望についてたずねた。

――2009年にJMCは結成したということですが、まずはその経緯を教えてください。

JUMPEI「もともと僕は福岡にあるモデル事務所に所属していたんですけど、ひとりで音楽活動をしていました。そこへMicchiyが遊びに来て」

Micchiy「僕は当時、保育士を育成するための専門学校に入っていたんです。でも在学中に『歌のおにいさん』に憧れまして、いろいろな人に相談に乗ってもらった結果、教えてもらったのがJUMPEIくんのいる事務所で」

――そのときが初対面?

JUMPEI「そうですね。僕が事務所で曲を作っていて」

Micchiy「僕は髪の長い怖い人(※)がいるな、絶対この人とは仲良くなれないな、って思いました(笑)。『福岡ってやっぱ、怖え~』って。当時の彼は(髪が)くるぶしぐらいの長さで……」

JUMPEI「ねえわ! そんなヤツおらんわ(笑)」
※当時のJUMPEIは長髪。

――それでよくユニットを結成しましたね。

JUMPEI「すぐ横で社長が『何か特技ないの?』って、面接が始まって」

Micchiy「『じゃあ、歌います』って『歌のおにいさん』の歌を熱唱しまして。こっちはオーディションだから本気なわけですよ。でも、みんなは大爆笑。社長から『ふたりでユニット組んじゃいなよ』って言われました」

――こうして聞いても、なぜそれがユニットにつながるのかわからない。

Micchiy「僕もドラムをやっていたので、じゃあ一緒に作ってみようか、という流れでチキン南蛮の歌を作りまして。それから食べ物にまつわる曲を多く制作するようになりました」

――わりと初期から「食べ物系でいこう」との流れはあったんですね。

Micchiy「誰もやっていないことをやろう! ということで、僕はチキン南蛮の美味しさを福岡の人に伝えたかったんです。それで、ふたりで宮崎まで食べに行って、そのままJUMPEIくんにリリックを書いてもらって」

JUMPEI「チキン南蛮、確かに本場のものはおいしかったです」

Micchiy「他県のものはサクサクしているんですが、宮崎のはふわふわしてるんです。サクサクは……この話長くなりそうですけど……」

――別の機会にしましょうか。

Micchiy「そうですね。その後、上京してから見直したとき、食べ物関係の楽曲が多いことに気がつきました。それから『納豆 ON THE RICE』のような曲もできて……。何かを伝えたいとき、僕たちのフィルターを通すと食べ物になっちゃっていますね」

JUMPEI「ふたりとも好きな音楽のジャンルが一致する部分があったので、バラバラに見えてもうまくかみ合いました」

Micchiy「ヒップホップのよさはJUMPEIくんから教わりました。特にKREVAさんはあこがれる共通のアーティストでもあって」

――じゃあ、今作『みそしるママ らいすパパ』は、尊敬する人がプロデュースした楽曲なんですね。

JUMPEI「本当にうれしかったですね。まさかプロデュースしていただけるとは思ってもみなかったし。スタジオではいろいろと勉強させてもらいました」

――曲作りはどのように?

Micchiy「もともとは1年半前くらいに作っていた曲だったんです。ずっとあたためていたんですが、歌詞とメロディはほとんど変わっていません。でもアレンジがなかなか表現できなくて。その部分をKREVAさんに相談したところ、『イメージつかめたから、ちょっとやってみようか』と、アカペラ音源に今のサウンドを乗せたものを送ってくださって。聴いてみたら鳥肌モノですよ。やっべーって。そこからさらにアドバイスをもらって歌詞を変えてみたり、細かな調整を加えたりして、完成に至りました」

――この曲は、どのような心境から生まれたのですか?

Micchiy「今では若い世代からお年寄りまで、外食でピザやパスタ、ハンバーガーなどを食べるのが当たり前になっていると思うんです。でも、味噌汁とご飯を口に入れたときにホッとする日本人独特の感じ方ってあるじゃないですか。それが、実家に帰ったときの気持ちとリンクしたんです」

――それがインスピレーションとなったわけですね。

Micchiy「はい。そうしたら、今のミュージックビデオの映像がパッと浮かんだんです。主人公のバーニャカウダくんのクラスメイトには、おしゃれなマルゲリータくんがいて、でも家に帰ったらこうで……と、自分の幼少時代と照らし合わせながら歌詞を書いていきました」

――そんな風に自身の体験を食べ物に置き換えることも多々あるのでしょうか?

Micchiy「『これはないな』っていうリストで頭のなかはいっぱいですね。タンスの角がコンニャクだったら、とか」

JUMPEI「豆腐じゃなかった?」

Micchiy「……いや、コンニャクだった。タンスの角がコンニャクだったら、小指をぶつけても痛くないし、人生もうまくいくんじゃないかという。その角を人生におけるいろいろな“角”と掛け合わせているんです。……これ、曲できそうだな」

――以前に「JMCはメッセージ性がないのがイイ」みたいな話もありましたが、この曲は異色だと?

Micchiy「“JMC=ノリだらけのパーティソング”と自分たちでもよく公言していて。でも前作の『納豆 ON THE RICE』も実は男女の相性のよさを納豆とご飯に例えているんです。ただ、そこを前面に押し出すことはしていませんね。それよりはノリを感じでほしい思いがあるので。ただ、『みそしるママ らいすパパ』は異色で、しっかり歌詞が耳に入る、心に響く内容に仕上がっているのではないかと」

――なるほど。

Micchiy「2曲目は、ひな祭りをテーマにした今までどおりの僕らのパーティソングで、3曲目はよりEDMなサウンドにしつつもお茶の間でも聴きやすいようになっています」

――EDMはだいぶ客層が広がったとはいえ、まだ一部に愛されるジャンルのイメージもあります。それをお茶の間に持ち込みたい気持ちはある?

JUMPEI「そうですね。ジャンルとしてはEDMが一番好きってこともあるし、単純に元気が出て盛り上がれる要素も多いじゃないですか。個人的にですが、そういう理屈抜きでアガる感じはお茶の間にも伝えることはできると思うんです。ですから、聴きやすくして多くの人の耳に届けたい気持ちはあります」

Micchiy「EDMのイメージが固まりすぎちゃっている気もするんです。サングラスでビキニの女性が小瓶のお酒を掲げて『夏だぜ!』みたいな(笑)。もちろん僕たちも大好きなんですが、それよりはサウンド本来の持つパワーこそがこのジャンルのいい部分だと思うので」

――確かに欧米などではダンスミュージックが日常に入っていますよね。

Micchiy「EDMって子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまでノレる音楽だと思うんですね。以前にキャンペーンで広島へ行かせていただいたとき、子どもたちが飛び跳ねてはしゃぎまくっていて。ちゃんと伝わるものですね」

――では最後に、今後はどんな曲作りを心がけたいですか?

JUMPEI「食べ物に関する曲は今後も継続して作っていきたいですね。あとは、繰り返しになりますが、EDMが普通にお茶の間で聴けるように、より音を追求していきたいです」

<関連サイト>
JMC(ジュミッチ) http://www.jumicchi.com/
JMC(ジュミッチ)、家族の絆を描いた新曲『みそしるママ らいすパパ』MV期間限定フル公開 https://www.entameplex.com/archives/26970