Entame Plex-エンタメプレックス-

伊藤淳史主演、生きるヒントがつまった映画『ボクは坊さん。』のBlu-ray&DVDが発売


「ほぼ日刊イトイ新聞」で約7年間、連載された栄福寺の住職・白川密成の実体験をつづった同名人気エッセイを、伊藤淳史主演で実写映画化した『ボクは坊さん。』。このたび、本作のBlu-ray&DVD発売を記念して、原作者である白川密成住職にインタビューを行った。

映画公開時に住職の元に届いた感動の声をはじめ、今のお坊さん界の直面する(?)課題、そして「誰かのいてほしい存在になること」というお坊さんのあるべき姿などについて話を聞いた。

――映画公開時の反響はいかがでしたか?
 
「葬儀場で働いている方に言われたのですが、お子さんが初めて一緒に観たいと言ってくれた映画ですと。『本当に、あんな感じなんですか?』って(笑)。そういう意味では、日々の中の普通の側面を描けたと思います。空海とは! とか教えがメインに入っている作品ではないので、構える必要がない分、素直に受け入れられるのかなと」

――お坊さん界の入り口が広かったので、興味をそそる要素も多かったです。
 
「『今から語るぞ!』という姿勢だと、人は引いちゃいますよね。特に若い人は興味も薄いでしょうし、普段から怒られていたら説法とか、わざわざ聞きたくないでしょう(笑)。『実は昨日、面白い話があって』の方が、人って耳を傾けるもの。でもその中には人の生き死にの話も、もちろん含まれていますけれども」

――この映画でお坊さんの今は伝わったと思いますが、今後の課題などはあるのでしょうか?
 
「人口が減っているので、今までのスタイルではなりたたなくなると考える僧侶も多いようです。お寺とお坊さん、世間の心理的な距離が近づいた部分もあるけれど、広がっている部分もある。現実的には東北や四国などでお寺の数がどんどん減っています。人がいないと、なりたちにくいのも現実。でもそういう時こそ、いろいろな新しいものが発生しやすい時期だと思うんです」

――発生していますよね。最近はAmazonでお坊さんが宅配できる時代ですから。
 
「うーん、それに関してはひと言では言えない(笑)。お寺に住まない“マンション僧侶”と揶揄されるお坊さんがいたり、イオンが葬儀をしたり、そういう流れも出てはいます。それを僕たちのような昔ながらの僧侶がじっくりと見つめて、今まで何を担ってきて、これからは何を担っていくのか、かなり真剣に自分たちが考えなければいけないと思います。突きつけられている時代かなって、思っていますけどね」

――時代の流れはあるとしても、お坊さんにはありがたい存在であってほしいです。
 
「どれだけ時代が変わっても、お坊さんは基本的に“いてほしい存在”でないとい続けられない側面があると思います。だから、誰かのいてほしい存在になることですね。時代とか関係なく、こういうお坊さんがいればいいという、根本の問題ですよね。どういう仕事でもそうでしょうけれど、そういう存在でありたいものです。その上で、自分がどうありたいか、ということだと思います」

映画『ボクは坊さん。』のBlu-ray&DVDは発売中。

発売元:ポニーキャニオン
販売元:ポニーキャニオン
© 2015「ボクは坊さん。」製作委員会

■取材・構成・撮影/鴇田 崇(OFFICE NIAGARA)

<関連サイト>
映画『ボクは坊さん。』(ポニーキャニオン) http://v.ponycanyon.co.jp/pickup/pcbg52569/