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柳楽優弥「食われたら俳優辞める!」強い覚悟で挑んだ衝撃作を語る


“俺、食われるくらいなら俳優辞めますよ!”
そう真利子哲也監督に言い放ち、ただならぬ覚悟で主人公・泰良(たいら)役に挑んだのは、柳楽優弥。
そんな彼の存在感を食ってやろうと、まるで運命の糸に導かれるかのように新鋭・真利子監督による衝撃作『ディストラクション・ベイビーズ』に、菅田将暉、小松菜奈、村上虹郎、そして池松壮亮ら日本映画界の次世代を担っていくであろう若き俳優たちが集結。

108分間、ヒリヒリと火傷しそうなほどの熱量が銀幕からほとばしる、彼らによるガチな化学反応。解き放たれた野獣のように路上で無差別に人に殴りかかる狂気に満ちた男・泰良を、限界まで台詞を削ぎ落とし怪演した柳楽は、“今もう1回やれと言われても出来ないんじゃないかな”と撮影を振り返る。今回はそんな本作で、凄まじい存在感をみせてくれた彼に、いろいろと話を聞いた。

――今作で演じた泰良はかなりハードな役でしたが、どんな役作りを?

「今までは役柄や時代背景について色々と調べたり、掘り下げていく作業をすることが僕の中でのやり方だったんですが、今回は寧ろそういうことよりも現場の空気感を感じることのほうが重要でしたね。だから今までのやり方を1度捨てて、監督と一緒に現場で作り上げていきました」

――撮影に入るまでは、どんな気持ちでしたか?

「こういう作品って最近あまりないので、 “そう、これこれ! こういう映画が観たかったんだよね”と言ってもらえるように頑張ろうといった話をキャストのみんなとしていました。もちろん内容的に好き嫌いはあると思いますが、監督が数年間かけてきた情熱を知っているだけに、主演としてブレずに腹くくってやろうと」

――真利子哲也監督からは具体的な指示はありましたか?

「いえ、『(泰良は)何で喧嘩するんですか?』って監督に何度聞いても『楽しければええけん、なんです』って。さすがに5回くらいそう言われちゃうと“あれ!? 俺がおかしいのかな”みたいな感じで……6回目は聞けなかったですね(笑)。そこまでブレない人もいないですから、しっかりと監督を信じて挑みました」

――今回、柳楽さんは台詞がほぼないに等しいくらいでしたが。

「台詞が無いぶん、ちょっと油断したらただの変な人になっちゃう(笑)。だから、表情や佇まいだったり……、やるからにはどこかで説得力を持たせないといけないなと思っていました。監督からは『楽しければええけん』とか『今まで見たこともないような立ち上がり方をしてください』とか『この世のものとは思えないような』みたいに説明もざっくりしていて。これは逆に“俺のイメージ力が問われているな!”って(笑)。ある意味やり甲斐がありましたね」

――それはある種監督とも殴り合い状態でしたね(笑)。

「そうですね(笑)。だけど監督のことを信頼していましたから。(菅田)将暉くんとか小松(菜奈)さんとか(村上)虹郎とか池松(壮亮)さんといった同世代の俳優を集めて、こういう内容で演技をぶつけ合っているのはそうないと思うのでぜひ観てもらいたいですね。これだけのキャスをよく集めたなぁと。普通に恋愛映画とか出来ちゃう顔ぶれにもかかわらず、真逆な方に振り切りまくっていますし(笑)。そこも真利子監督のすごいところですよね。監督が『みんなすげー気合いバチバチで現場に挑んでくるみたいだから、柳楽さん食われないでくださいね』とか僕に言ってくるんですよ。そうやって監督が煽ってくるから、僕もつい『俺、食われるくらいなら俳優辞めますよ!』って、まんまとのっちゃって……(笑)。意地でも俳優辞めたくないんで頑張んなきゃと自分を追い込みました。今思うと監督にうまくのせられたのかもしれませんね(苦笑)」

――確かにこれだけ振り切っている作品だけに、撮影中はどんな気持ちでした?

「こういう衝撃的な映画って、中途半端にやっちゃいけない枠だなと思って、しっかりと腹をくくって強い気持ちを持って挑みました。クランクアップして1年くらい経っていますが、今もう1回やれと言われても出来ないんじゃないかなって。やっぱりタイミングってあるんだなぁと感じています」

――それにしても、喧嘩シーンのなまなましさが凄まじかったです。現場では、アドレナリンが出っ放しじゃなかったですか?

「そうですね。(テンションを)上げるのが大変でしたね。朝イチの撮影が喧嘩のシーンからだと『マジか……』って、なかなか気持ちが付いていかなかったです。だけど、アクション部の皆さんは気合いバッキバキでアクション教えてくれるんで、その姿を見ていたら“ヤベェ……早く起きなきゃ!”みたいな(苦笑)。現場に着いてからエンジンかけるんじゃ全然間に合わないくらいハードだったので、現場に向かう前から気持ちを作るようにしましたね」

――喧嘩シーンの連続でしたが、観る側を飽きさせないよう工夫したことは?

「そこはもう完全にアクション部の皆さんの力ですね。かっこいいアクションじゃなくて、泥臭いストリート・ファイトだから、かなり練習しないと(動きが)自然にならないんです。軽く2~3回型合わせして……くらいじゃ全然ダメで1日に6、7時間は練習していました。超キツかったですけど、それだけの時間を与えてくれたのはすごくよかったです。撮影が終わってホテルに戻ってもしばらくはアドレナリンが出まくりでハンパじゃない状態でした。撮影が進むにつれ、徐々に痩せていってシックスパック(腹筋が6つに割れている状態)になって、ここまできたかって(笑)」

――オンとオフの気持ちの切り替えは大変でした?

「こういう役をやっておいて言うのもなんですけど、普段は“もっと笑っていこうぜ!”っていうタイプで、争いごとは好きじゃないんで(笑)。(泰良の)キャラが濃かったぶん、切り替えはものすごく楽でした」

――撮影中に、バリカンで丸刈りにするのを直訴したそうですね。

「(泰良が)あまり変わり映えないなと思って。サングラスをかけたりはしてるけど、髪が伸びているわけでもないし、最後のシーンは時間が経っている感じが何かあった方がいいんじゃないかと思って、監督に『道端とかでカミソリ拾って剃って、そこからちょっと伸びた設定で3ミリぐらいに刈っちゃいますか』って直訴して。僕3月生まれなんでラッキーナンバーにちなんでの3ミリ(笑)。監督も、すんなり『いいよ』って言ってくれましたけど、内心は事務所に怒られないかドキドキしていたそうです(笑)」

――劇中では、後先考えず犯罪へと走ってしまう10代の怖さや危なさ、SNS拡散など、現代社会が抱える問題もリアルに描かれていましたが。

「残酷な事件などがあるのはショックですけど、僕が今ここで世界を変えると言ったところで世界はちっとも変わらないですし、そういうことに関して発言するよりも、皆さんにこういう作品を観ていただいてどう感じてもらえるのかだと思っています。僕たちが情熱を注いだ作品をファンの方に観てもらって、何かを感じ取ってもらう……そして、考えろ! ということです」

――これだけ次世代を担う新進気鋭俳優が集結しているだけに、さまざまな波紋を呼びそうです。

「同世代でどうこう思わないですけど、すごくいい作品や面白い作品を作っている先輩たちの姿を見ていると、うらやましいと思う反面、世代交代したいという気持ちが強くあります。普段からお世話になっているのですが、30代の世代を先陣切ってカラフルにしてきた小栗旬さん、山田孝之さん、藤原竜也さんとか……とてもかっこいい。僕たち20代もしっかり気合い入れていきますっていう意味も強いんですけど、その原動力としてそういう気持ちは常に持っていますね」

――タイトルの“destruction=破壊”にちなみ、今ぶっ壊したいことはありますか?

「英語を勉強しない自分……マジでぶっ壊したいですね(苦笑)。やっぱり役をいただく時に、引き出しが多い人の方がいいんじゃないのかなっていう気がしていて。海外の映画も出たいですし、そういう役者としての引き出しをひとつでも多く増やしていきたいです。海外作品に出たいという気持ちは人一倍強いのに、英語を勉強しないというのは、まだまだ気持ちが足りないのかもしれないですね……チクショー! 勉強します(笑)。それが20代の課題です」

映画『ディストラクション・ベイビーズ』は、全国公開中!

©2016「ディストラクション・ベイビーズ」製作委員会

ヘアメイク:内田香織
スタイリスト:川地大介

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映画『ディストラクション・ベイビーズ』
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