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きゃりー、三戸なつめetc…「原宿系」の仕掛け人:ASOBISYSTEM中川社長インタビュー

ポップでカラフル。宝石箱をひっくり返したような色使いや個性的な着こなしが話題の「原宿系」ファッション。そのスタイルには、歌手のケイティ・ペリーや映画監督のソフィア・コッポラなど海外セレブも「クレイジー!」と魅了してしまうほど。

今や「クールジャパン」の一環として世界からも注目を集める「原宿系」が多くの人々を引き付けるのはなぜだろう? 今回、この話題について語ってもらうのは、この人をおいてほかはない。きゃりーぱみゅぱみゅを始め、三戸なつめやゆうたろう、音楽家の中田ヤスタカ(CAPSULE)が所属するなど、クリエイティブなイベントには欠かせない芸能人が所属する事務所としても知られ、これまで日本のポップカルチャーを世界に発信し続けてきたASOBISYSTEMの社長・中川悠介氏に話を聞いた。日本が生み出すポップカルチャーの行方を中川氏が一刀両断!

――そもそもの話ですが、なぜ「原宿系」と呼ばれるスタイルが注目されるようになったのでしょうか?

「ネットを通じて海外で注目されたのは大きいですね。それが『海外で日本のこんなことが注目されている』と日本のメディアが取り上げて一般化した流れがあると思います」

――なぜ海外で面白がられたのでしょう?

「日本のファッション文化って、これまではパリやロンドン、ニューヨークなど海外を崇拝する傾向にありましたよね。でも、そのまま取り入れるのではなく、そこに日本人独自の色彩感覚が加わっている。そこが外国人にハマったのかな、と感じています」

――同じように着飾っても、どこか日本人的な要素が入っていると。

「そうですね。増田セバスチャンが生み出すきゃりーぱみゅぱみゅが、外国人から見るととてもクレイジーでカワイイと感じる世界観になったのも、そういうことなのかなって」

――なるほど。

「日本人のクリエイティブって、もちろんオリジナルも作り出しますが、外のものを取り入れて変換するのが上手なんです。そうして生まれたモノは国内よりも外国人のほうがフラットに評価できる気がします。たとえばトヨタなどは世界で高い評価を得ていますが、自動車をオリジナルで生みだしたわけではない。なんというかアレンジをオリジナルに見せる力がとても上手ですね」

――ファッションの海外崇拝ですが、最近の若い世代も同じ意識なのでしょうか?

「うーん。若い世代は前ほど海外へのあこがれはないような……。おそらくインターネットやSNSを通してタイムリーに情報を収集できているせいもあるでしょうが、あまり国内外のこだわりはなくなってきている印象を受けます。今の時代は『いいものはいい』と発言しやすくなっていますよね」

――確かにそうですね。

「以前なら原宿を歩いているオシャレな人がアイドルやアニメが好きだなんて、決して言わなかったじゃないですか。でも、今は違う。情報を偏見なく伝えやすい時代になったと思いますよ」

――風通しは良くなったと。

「その反面、こだわりや作り込む力は弱くなっているという問題もありますが。情報が多すぎる分、そのまま流してしまうところもありますよね。昔なら雑誌の発売日を楽しみにしていたのが、その感覚も薄くなっていくし。……でもどうだろう。もしかしたらそれは問題点じゃなくて、また別の流れができるために必要なことなのかもしれません」

――中川さんから見て「原宿」はどんな街なのでしょう?

「何かを作り出すことができる街。外から取り入れるのではなく、若い子たちがアイデアを考えたりとか、自分の好きな洋服を集めて古着屋さんを始めてみたりとか、小さいながらも新たな価値を生み出す場所だと考えています。それに加えて歴史のある街でもあるので、それらが融合している不思議で面白いところですよね」

――中川さんの目から見て、過去と今の原宿でどのような変化がありますか?

「原宿は常に進化し続けている街だと思うんです。昔の原宿が好きな人から見れば、今は大きな商業施設がバンバン建って『前は良かった』と言う人もいるでしょうが、僕らは現在進行形で生きている以上、それを嘆いても仕方ないですよ。未来を作っていくしかない」

――変化がイヤになって離れていく人も多くいますが、そのなかで中川さんが原宿に事務所をかまえる理由はなぜですか?

「外が騒がしくても、僕らがやることは同じだと思うんです。『原宿系』がもてはやされる前から自分たちは変わらず今のスタイルでやってきたわけですから。ただ、最近は『原宿』という言葉が前に出過ぎていてつまらないな、とも感じます。型にハマってしまっているような。でも結局、この街が好きなんですよね。だから、進化する原宿とともに新しい何かを再び作ることができるかもしれません」

――今後、ASOBISYSTEMではどのようなタイプのモデルやタレントに注目していますか?

「容姿がいいというよりも、自分を確立していて自己発信が上手な子ですね。インスタグラムなどのSNSを多用するオウンドメディアの時代だからこそ、その子自身がどのようなことを発信できるかが大事だと思います」

――いわゆる「原宿系」は、「クールジャパン」のひとつとして認識されています。「クールジャパン」の現状についてどう思われますか?

「事情が先行しすぎている感じはありますよね。『クールジャパン』や『インバウンド』って言えばいい、みたいな。『クールジャパン』という言葉が安心材料になってしまっているのは良くない。確かに海外の人を日本に呼びこむのは大事ですが、言葉だけじゃなくて実体として動くことをしなくてはいけないと思います」

――「クールジャパン」の定義が広い分、どうとでも言えてしまう部分もあります。

「2020年には東京五輪もあるし、チャンスではありますよね。ただ、僕らは2020年以降を意識しているんです。その先にどれだけ残せるコンテンツを作っていけるか。僕らが行う、日本のポップカルチャーを世界に向けて発信する『もしもしにっぽんプロジェクト』もそのひとつです」

――「原宿系=カワイイ」のイメージについてどう思いますか?

「僕ら的にはイコールとは思っていません。カワイイって言葉はもっと感覚的で、カルチャーを伝えやすくまとめるためのものです。ただ、僕らも『カワイイ』が形骸化していることに飽きだした部分もあって、最近ではあえてイベントでも使わないケースもあります」

――そうなんですね。

「僕ら自身で作り上げてきたものなので『ASOBISYSTEMといえば、カワイイ、原宿系』と思われるのはうれしいのですが、そこであぐらをかくのは危険ですよね。カルチャーって、ざわつきがあってヒト・モノ・コトが揃ってライフスタイルを共有することが大事だと思っています。多様性のある今の時代ではなかなか難しいかもしれませんが、みんなが揃って『これはいい!』と口走るような、新しい何かを生み出すチャレンジは続けたいですね」

<関連サイト>
きゃりーのアートディレクター・増田セバスチャンが水族館をプロデュース
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