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音楽家・渋谷慶一郎、ものづくりにおけるAIとの関係性語る


独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は10月13日(火)、千葉・幕張メッセで開催されたデジタルイノベーションの総合展「CEATEC 2026」の出展ブースにて、スペシャルセッション「テクノロジー右脳左脳対談」を開催。日本のデジタル及びサイバー政策の権威である慶應義塾大学名誉教授の國領二郎先生と音楽家の渋谷慶一郎さんが登壇し、「AIやテクノロジーの進化が人間に及ぼす影響」、「AI・デジタル社会におけるプロトコルのあり方」、「AI・デジタル社会の人材育成のために必要なこと」などについて語り合った。

まず、AI・テクノロジーの進化による人間の変化について、國領先生は「本質が変わったかどうかはわからなところがある」と前置きしつつ、「少なくともAIによってもう1回人間が深刻に自分たちの本質は何なのか問い直す時期が私の感覚だと200年ぶりぐらいに来ている」と率直な感想を語る。

加えて、「近代化のプロセスの中で(世界では)19世紀の頭ぐらいに相当いろいろ悩みながらやってきた。日本でも例えば夏目漱石が個人や心とかに向き合いながらすごく葛藤していた。それと同じような局面が今また来ているというふうに感じています」、「時代の技術的・経済的背景に合わせながら人間も変わってきたわけで、今回我々は一体どのような変化の時代になっているかを今考える時期なんじゃないかなと思います」とも。

そして、今後に関しては“神の領域”と表現すると、渋谷さんからも「もうシンギュラリティはきている」、「明らかにある一線は超えている。それを人間がどうするか考えること自体の有効性自体を疑っていったほうがいいんじゃないかなと思います」との意見が。

その他にも今回の議論の中では渋谷さんからは興味深い指摘が次々と。例えば、國領先生が守りたいものに言及すると、「守りたいものがある人って弱いじゃないですか」と渋谷さん。「僕は、守りたいものないんですよ。全て失える。全て失えると仕事はめちゃくちゃ強い。守るものがあることは大きな弱点だと思う」と語る。

さらに、アーティストとしてものづくりにおけるAIとの関係については、「僕が音楽をAIやアンドロイドを使って作るときに思うのは、AIは宗教と哲学に非常に相性がいい。で、それは人間の側が用いる最後の刀であり、だからそれを持っていない人間がAIを使うのは困難」と指摘。

また、渋谷さんに“育成”についても伺ってみると、「“欲望”がない人を育てるのはほとんど不可能」と即答。「欲望がある人間にいろいろな経験をさせる、実践の中に飛び込ませるのが一番有効なんじゃないかと思います」と話し、さらには「日本では“欲望”というと苦笑いされるような感じがあるんですけど、やっぱり欲望が一番大事で、AIの欲望が人間よりも強くなったとしたらもう手がつけられない。だから、人間が欲望を持つことは大事」と強調していた。

<関連サイト>
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
https://www.ipa.go.jp