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生粋のビール好きも虜に!? ノンアルコールビール最前線、キリンの開発者に直撃!

夏と言えばスイカにアイス、大人ならやっぱりキンキンに冷えたビール!
しかし、そんなビール業界で年々シェアを増しているのが、ノンアルコール・ビールテイスト飲料。著しい市場の伸びを見せており、ここ数年で10倍以上の市場規模へと成長しています。

そんなノンアルコールビールのパイオニアと言えば、2009年にキリンから発売された「キリンフリー」。その「キリン フリー」の特徴を受け継ぎ、このたび新商品「パーフェクトフリー」が6月に発売! しかもこちら、今年4月から施行された機能性表示食品制度を利用した機能性飲料、つまりノンアルコールでなおかつ体にいい機能もある商品ってことですね!

そんなスバラシイ商品が! と喜ぶ一方で、既存の熱狂的ビールファンからは“機能はいいけど味はどうなんだ!”って意見もあることでしょう。そんなわけで、今回はパーフェクトフリーを開発したキリンビール株式会社、マーケティング部 商品開発研究所 商品開発グループ 主務の川﨑篤史氏に、この商品の魅力、さらにはノンアルコールビールの今について聞いてみました!

ノンアルコール好きのみならず、ビールファンの方も必見です!

――現在、ノンアルコール・ビールテイスト飲料市場に関してはどのような感触をお持ちですか?

「機能性表示食品制度を利用したパーフェクトフリーを6月に発売して以降、お客様の反応が強くなってきたという感覚はありますね。ノンアルコール商品の出荷水準も1月~5月は前年比106%、6月は112%と上がってきています」

――ビール市場に関して言えばこれからの時期、夏がピークになりますよね?

「そうですね、普段ノンアルコールビールを楽しまれているお客様だけでなく、新規ユーザーも想定しています」

――ビールとノンアルコールビールでは、夏場、体に及ぼす影響も違ってくるものですか?

「爽快感は同じですが、アルコールがないという部分で飲んだ後の体の負担感に違いがありますね。たとえばランチビールの代わりに、さらにはスポーツの後にも気にせず飲めるので、そこがお客様に選ばれている理由の1つかと思います」

――新商品のパーフェクトフリーの反応はいかがですか?

「おかげさまで非常にいいですね。購入者の満足度も高いですし、8割以上の方から継続して購入したいという意見をいただきました」

――パーフェクトフリーの開発にあたっては、どんなところを意識しましたか?

「以前から各種調査を行い検証していたのですが、お客様の間では味覚の重要性が非常に高く、パーフェクトフリーはそこをかなり意識しました。すっきりとした爽快感や苦味、後味、あとはビールに近い感覚ですね。その結果、食事に合わせやすいといった評価もいただいています。当然、機能性飲料ですので、お客様は機能も含めて選ばれると思いますが、やはり飲み続けるにはおいしさが一番のファクターになってきます。機能性と味覚品質(おいしさ)の両立に最大限注力しました」

――開発の際には唐揚げを大量に用意して、食事に合うよう食べながら作っていったとか。

「この商品についてはお客様としてはがっつり食べて飲むというシーンが魅力的だと思い、開発の担当者と油っぽいものを食べながら吟味しました。口の中の油を洗い流してくれたり、ビールの苦味で口の中を締めてくれるなど、食事をしながら作っていった経緯があります」

――味覚という意味では、やはりビールに近づけることが目標なんでしょうか? それともビールとは違ったところにゴールがあった?

「そこは難しいところで、ノンアルコールビールというと食事に軽く合わせたり、昼間に飲んだりすることが多いので、いわゆる通常のビールよりも軽いテイストにしています。一方で、ビールと同じ麦芽由来の醸造という方法で作っているわけではないので、香料の技術も含めビールのテイストを出すのが難しいんですよ。普通に作ると水っぽくなってしまったり、人工的な香りになってしまったり。そういう意味では、弊社がこれまで培った知見を参考にしながら、ビールらしい厚みやコクがありながらもすっきりとした飲みやすい後味、そして最後にキレや心地よい苦味、酸味やコク、旨味などのバランスを注視しました。もちろん、ビールの魅力である、のどごしという部分も含めて」

――味覚に関しては、相当力を入れたと。

「機能性飲料の味覚は日進月歩です。その中で弊社が積み上げてきた技術、特に今回はベースに大豆たんぱくを使い、非常にすっきりとした爽快な味覚でありながら、ビールらしいコク感を実現しています。あとは、香料ですね。これもここ数年進化が著しく、そういった技術も含めて、それこそキリンが持つ技術の粋を集めて作りました」

――それだけ御社でもノンアルコール市場に注目しているということですね。

「ビール人口も減少し、アルコールもライト化、ソフト化している中で、よりお客様に選択肢やビールを楽しむ幸福感をいかに与えていくか、ノンアルコール・ビールテイスト飲料はそのための新しい領域と捉えています。ビールだと飲みにくい雰囲気の中でも楽しめたり、仕事が忙しくアルコールは避けたいけど飲みたい方、そして主婦の方など、ノンアルコールビールは様々なシーンに広げていくポテンシャルがあると思っています」

――先ほど、開発の中で最も意識していたのは味覚と仰っていましたが、今回の商品は機能性という部分も大きな魅力ですよね。

「そうですね。パーフェクトフリーの最大の特徴は、脂肪の吸収を抑える、糖の吸収を穏やかにする成分を含んでいることです。ここ数年、ノンアルコールビールの業界は大きなトピックがなく、お客様に対する新しい価値観の提案ができていませんでしたが、機能性表示食品制度が施行され、より機能面の訴求がしやすい環境になりました。特に既存のノンアルコールビールユーザーは健康意識が高い。それだけにこの制度を利用し、より一歩踏み込んだ価値提案ができると思っています」

――ユーザーにとっては嬉しい限りですよね。飲みながら健康に気をつかうことができるという。

「お客様にとっては、お酒を飲むことが一番だと思いますが、そこには葛藤が伴うことがありますよね。それこそ飲む時間帯や一緒に食するもの。そういった葛藤のレベルがあがってきている中で、そこに応えることが重要だと考えています」

――既存のビールに比べて、機能的な部分での具体的な違いは?

「それは個人差や飲み方、体調、シーンが大きく影響してくるので、具体的な数字となると難しいのですが、難消化性デキストリンという成分の働きで脂肪や糖を抑えることができる。それは確かなことです。私どもの調査では、パーフェクトフリーは特に40代の方に需要があり、その理由としては機能性の部分を魅力に感じていただけているようですね」

――そのぐらいの年齢になるとメタボも気になりますからね。

「普段はビールを飲みながら、シーンに合わせてノンアルコールビールを楽しむ方が増えていますね。あとは価格もリーズナブルでありながら進化した機能価値があるというところで選んでいただいているのかなと思います」

――ある意味、機能的な部分ではただ食事をするよりもパーフェクトフリーを一緒に飲んだ方がいい?

「飲んで痩せるということではありませんが、少なからず効果はあるかなと。難消化性デキストリンは、トクホ(特定保健用食品)でも実績のある成分でもありますし」

――そのトクホではなく、今回機能性表示食品制度を利用した理由は?

「開発自体は両輪で行ってきましたが、ポイントはスピードです。トクホは国の承認がいるので、発売までに時間がかかるんですよ。一方で、機能性表示食品制度は申請から最短の場合60日で発売できる。やはり味覚が日々進化しているので、現段階で最もクオリティの高い味覚品質を最短のリードタイムでお客様にお届けできる、それが理由ですね。あとは、トクホとなると販売価格もあがってしまうんです。トクホだとしても同じ難消化性デキストリンを使っていますし、機能面は同じなので、より価格を落とすためにも機能性表示食品制度の方がメリットはあったんです」

――とはいえ、トクホというブランド力、一般的にその信頼性は大きいですよね。

「確かにトクホの安心感は何事にも代えられない、それは弊社でも感じています。ただ、やはりお客様のニーズ、味覚を重要視されていることや価格設定に照らし合わせると機能性表示食品制度に立脚した方がお客様にミートできると考えています」

――ちなみに、ノンアルコールビールはアルコール度数が0%ですが、どれだけ飲んでも大丈夫なんですか?

「実際は0.00%以下、基本的にはノンアルコールなので、酔わないですね。たとえば1000リットル飲むというと話は別ですが(笑)。実のところ、お醤油の方がアルコールは入っていますからね、2%程度あたりだったかな。ただ、飲みすぎるとトイレが近くなるということはあります。それはホップに利尿作用があり、パーフェクトフリーにもホップが入っていますので」

――最後に、ノンアルコールビールの味覚は日々進化していると言いますが、いつかビールと肩を並べるようなことがあるのでしょうか?

「それは……どうですかね(苦笑)。究極的にはそうかもしれませんが、ビールにはビールの良さがありますし、やはりアルコール、酔いの効用がありますからね。酔ってみんなで楽しむというのは、それこそ何千年も続く歴史がありますから。役割はそれぞれ違うのかなと思います」

――たとえばですが、既存のビールを飲んでチェイサーとしてパーフェクトフリーを飲む。そうすれば、機能面もフォローできて最適ですよね。

「理論的にはそうですが、なかなかそこまでハードな飲み方をするというのも……(苦笑)。効果的かどうかはわかりませんが、飲み方としてはありかもしれませんね。どういった形であれ、普段の生活からノンアルコールビールを意識いただくことが、パーフェクトフリーを楽しむ上での一番のポイントだと思っています。そして、それに伴い食生活、食事のバランスを精査し、より長くビールを飲んでいただく、それが私どもの一番のビジョンです。末永くビールを楽しんでいただくためにも、毎日の生活、習慣の中にパーフェクトフリーを組み込んでいただけると嬉しいですね」

<関連サイト>
キリン「パーフェクトフリー」 http://www.kirin.co.jp/products/nonalcohol/perfectfree/
キリンが機能性食品第1号となるノンアルビールを発売! 布施社長は今後の展開に手応え充分 https://www.entameplex.com/archives/21596
ノンアルビール夏の陣! 女性層のハートを掴み今夏のトレンドとなるのは!? https://www.entameplex.com/archives/22528