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GACKTがツアーファイナルで10分以上観客へレスポンスを求めたワケとは


GACKTの「GACKT WORLD TOUR 2016 LAST VISUALIVE 最期ノ月 -LAST MOON- supported by Nestlé」のツアーファイナル公演が3日、埼玉・さいたまスーパーアリーナにて開催された。

3月から数えて42回目の公演となるこのワールドツアー2016。GACKTは最後にどんなステージを見せてくれるのか。いよいよ開演すると、最初にGACKTが原案から脚本・演出・主演・音楽までを手掛ける舞台「MOON SAGA -義経秘伝-」 の映像がスタート。源義経を演じるGACKTの美しさに観客も息を飲む。

この公演は「MOON SAGA -義経秘伝-」の物語がベースとなり、幕間に義経の人生をなぞっていくこととなる。圧倒的な映像美やワイヤーアクションを使用した殺陣など、まるで1本の映画を見ているようだ。

さて、初めの映像が終わるとステージの幕が開き、GACKTはアルバム「LAST MOON」のイメージビジュアル姿そのままに登場し、「ARROW」「花も散ゆ」「RETURNER ~闇の終焉~」「RIDE OR DIE」「暁月夜 -DAY BREAKERS-」を続けて熱唱した。アッパーなナンバーの連続に観客は総立ちだ。

続いての第2部では、公家装束に身を包んだGACKTが漆黒の従者物ノ怪を引き連れ、「泡沫の夢」「斬 ~ZAN~」「傀儡が如く」「揺籃歌 -LULLING-」で、観客の視線を釘付けにした。

「ボクを壊してくれ」「ボクを許してくれ」。そう叫ぶGACKTの姿が一瞬、義経に重なる。

第3部は空気をガラリと変えて、ダークな世界観から明るい雰囲気に。GACKTは上半身裸に赤いジャケットのロックスターな出で立ちで見事なシックスパックを披露した。「ONE MORE KISS」「MIRROR」を歌うなか、ここからGACKTは徹底的に観客へレスポンスを求める。その時間は10分以上! どれほどファンが声を振り絞ろうと、GACKTが「聞こえませーん!」と、何度も声を要求する姿は異様に見えた。

しかし、これはGACKTがこの日にどれほどの思いで挑んでいるかの現れだった。GACKTは幾度となく「今日がファイナルだぞ!」「最後なんだぞ!!」と叫び、自身と観客を限界に追い込もうとする。この試みは成功したようだ。会場は一体となり、歓声でさいたまスーパーアリーナが揺れる。比喩表現ではなく、本当に揺れたのだ。

第3部を終えたGACKTは、息も絶え絶えに、声もすっかり枯れてしまう。ここで初めて本格的なMCを行い、心の内を吐露した。

「ソロになって今年で17年なんです。周りにはたくさんのミュージシャンがいたけど、ふと横を見ると彼らはどんどんいなくなっていって。いつボクは消えるのかなって思いながらずっとここまでやってきた。ボクみたいなマニアックな世界を作るアーティストって、こんなハコ(さいたまスーパーアリーナ)でやる必要はないかと思うんですよ。400人くらいの小劇場でいいんじゃないかってずっと考えていたんです」

これまで自信を全面に打ち出してきたGACKTの赤裸々な告白に超満員の観客は静まり返る。

「でも、こうやってボクの背中を押してくれたみんながいたからここまでやってこれた。心の一番深いところから言わせてください。本当に今までどうもありがとう」

GACKTはこの公演の翌日に誕生日を迎える。猫耳をつけたGACKTは、「もう43歳ですよ。池袋の西口だったら捕まりますよ」と笑いを誘う。ここで、サプライズゲストとしてTRFのDJ KOOがケーキと花束を持って登場した。

場の空気を読まずグダグダ進行のDJ KOOに、シリアスだったGACKTも呆れムード。トドメは、「一緒に写真撮ろう」とケータイを取り出しステージ上で記念撮影を始める。DJ KOOの「後でメールするね」との発言に会場からは爆笑が起こる。GACKTも苦笑し、とうとう「もうさっさと帰ってください(笑)」との辛辣なコメントが飛び出した。

「U+K」「舞哈BABY!! -WooHa-」「恋のFRIDAY!!!」「キミだけのボクでいるから」の楽曲でいよいよラストスパートに。GACKTがしっとりと「P.S. I LOVE U」を歌い出すと、「もう終わってしまう……」と、誰もが宴の最後を惜しんでいる様子だった。

そして、とうとうラストナンバー第4部「雪月花 -The end of silence-」が始まる。ここでGACKTは、甲冑に身を包んだ義経の姿で登場。戦地で死にゆく彼が何を思い、何を感じたのか、歌とともに表現した。

およそ4時間半にも及ぶファイナル公演は幕を下ろした。これまでに多くのツアーやライブをこなしてきたGACKTだが、この公演に特別な思いが込められていたのは確かだ――「本当に今までどうもありがとう」。

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