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仁村紗和、太眉のクールビューティーが『無伴奏』で映画初挑戦!


鶴の恩返しをモチーフにした住友生命のCM「あの人の生活保険」篇におつる役として出演し、深津絵里と共演。そこでの演技が話題となり、“あのキリリとした太眉の子は誰!?”と一躍注目を浴びた仁村紗和。

もともとはモデルとして活躍中の彼女が、このたび直木賞受賞作家・小池真理子の半自叙伝的小説を実写映画化した『無伴奏』(3月26日公開)で映画初出演を果たした。

本作は混沌とした1969年の仙台を舞台に、成海璃子、池松壮亮、斎藤工の3人が描く危険な香りが漂う切なく耽美なラブストーリー。そこで仁村は主演の成海演じる響子の親友・ジュリー役で、女優としての新境地を開拓。そんな彼女に、今作についていろいろと話を聞いた。

――大阪から上京して2年になりますが、東京での生活は慣れました?

「上京してすぐの頃は、新宿の改札とかすごく複雑で難しかったんですけど、乗り換えとかやっとうまく出来るようになりました(苦笑)。つい関西弁が出てしまったりすることもありますけど、“標準語で話しなさい”と言われたら話せるようになりました」

――地元に帰るとホッとします?

「毎回ホッとしますね。電車の中とかでも、小学生の会話が面白すぎて……やっぱりレベル高いなって(笑)」

――大阪は、お笑いに対して厳しいイメージがあります。

「私の家では、『ごっつええ感じ』っていうダウンタウンさんのコント番組を観て育ったので、結構そこで鍛えられた気がします(笑)」

――大阪の話はこれくらいにしてそろそろ本題に(笑)。オーディションでジュリー役を勝ち取ったそうですが、実はレイコ役(酒井波湖)を熱望していたとか。

「今までクールな役を演じることが多かったので、自分ではレイコ役をイメージしていたんです。絶対に取るぞという強い気持ちでオーディションを受けたんですけど、正直言って手応えは五分五分でした。まず、受かったことに驚きましたが、役名を聞いたらジュリー役で2度びっくりしました(笑)」

――ジュリーはどんなイメージでした?

「結構サバサバしていてあっけらかんとしているところは、素の自分にちょっと似ているかなって思いました。ジュリーと近い部分もあって、彼女の言っていること(台詞)がとても理解しやすかったです」

――今作が映画初出演でしたが、撮影に入るまでの間はいかがでした?

「映像の現場を経験したことはあったんですが、映画の出演は初めてだったので不安もありましたし、共演するのが尊敬する俳優さんたちばかりで緊張していました。ジュリー役に決まってから撮影が始まるまで、遠足みたいにずっとドキドキワクワクでした(笑)」

――現場はどんな雰囲気でしたか?

「矢崎監督には、自分から積極的に話すように意識しました。ジュリーと友達の響子(成海)やレイコ(酒井)とも距離を縮めていけるように、“一緒にごはん食べよう”って積極的に誘ったりしました」

――レイコ役の酒井波湖さんも紗和さんと同じ映画初出演でしたが、どんな話をしました?

「同じ境遇だったので、2人してそわそわしていました(笑)。お互いに一から勉強させてもらう気持ちでいましたが、波湖ちゃんと2人でたくさん考えました。“私、こういう気持ちで(この台詞を)言ってんねんけどどう思う?”って色々と話をしましたね」

――成海さんとは一緒のシーンが多かったですが、印象はどうでした?

「“一緒に写真撮ろうよ”と言ってくれたり、すごくフランクな方でびっくりしました。撮影に入る前まではとてもクールな印象だったんですけど、すぐに打ち解けて。すごく面白くて一気に大好きになりました(笑)。成海さんには現場ですごく助けられましたし、本当にやりやすかったです」

――成海さんから掛けられた言葉で印象に残っていることは?

「アジ演説をするシーンがあったんですけど、そこでうまく出来ずに苦しんでいた時に“ジュリーのペースでいいからね”って言ってくれて、肩の荷が下りたのを憶えています」

――エマ役の遠藤新菜さんは、紗和さんと同じ1994年10月生まれの同い年。刺激を受けることが多かったのでは?

「新菜ちゃんとは、以前からすごく仲良かったんですが、『無伴奏』での共演がきっかけでさらに仲良くなりました。(斎藤工と大胆な濡れ場を演じた)新菜ちゃんが“私の脱ぐ脱がないは、二の次であってどっちでもいい”と言っていたんですけど、すごく悩んだと思うんです。その姿は純粋にかっこいいと思いましたし、そんな新菜ちゃんの背中を見ていて刺激を受けました。本当に尊敬する女優さんの一人です」

――遠藤さんもそうですが、モデルだけでなく女優としても活躍の場を広げている人が増えていますね。

「私もモデルのお仕事をさせていただいていますが、写真撮影の時にあるカメラマンさんが“お芝居のできる人の方が撮りやすい”って言っていました。そういった部分では、モデルと演じることは何か通じるものがあるのかなと思いますね」

――紗和さん自身は演じることのどんなところに面白味を感じますか?

「人の感情や人の動く心とかを、ひと一倍考える職業だなぁって思います。私は、台本を読む時にいつも友達や身近な人を想像しながら、この子だったらどんな発言するかな、どういう行動をするかなと考えるのが大好きで。役に入る時に、いろんな想像をしたり考えることがすごく楽しいので、映画のお仕事ももっとやっていきたいです」

――憧れている女優さんはいますか?

「満島ひかりさんが大好きですごく尊敬しています。『川の底からこんにちは』という映画で観た満島さんのお芝居がとてもナチュラルで引き込まれました」

――今回、制服廃止闘争委員会を結成する女子高3年生役を演じましたが、紗和さん自身はどんな学生時代でしたか?

「彼氏もいなくて、ダンスとバイトに明け暮れていました(苦笑)」

――今作は、1969年から1971年の様子を描いていますが、当時の時代背景を誰かに聞いたりしました?

「“学生運動で死者とか出るくらいだったんだよ”って父や母から話を聞きました。資料で当時の映像を観たりもしたんですけど、激動の時代だったので、(学生運動をしている)人の熱量がすごかったり、死ぬ気でやっているんだというのをひしひしと感じました。劇中では、響子も怪我をしますし、ジュリーは本当に危ない場所に居たんだ……って」

――劇中では、当時のファッションも忠実に再現されていましたが、衣裳はいかがでした?

「ジュリーは、タートルネックにパンツというスタイルでしたが、姉の影響で昔から古着が大好きで、普段の格好もジュリーに似ていて、ハイウエストデニムにタートルネックを着ることが多いんです。最近、高円寺の古着屋さんに行ったときに、たまたま『無伴奏』のチラシが置いてあったので話を聞いてみたら、そのお店が衣裳を提供してくださっていたみたいで。偶然とはいえ感動しましたね」

――当時は、もちろんスマホやSNSなどない時代です。紗和さんは携帯のない生活は考えられます?

「マネージャーさんと仕事のことをLINEでやり取りしたり、カレンダーを共有したりしているので、ない生活はちょっと考えられないですね。スマホでカレンダーを共有するようになってからはスケジュール帳を持たなくなりましたし、今は欠かせないですね。スマホをなくしたらスケジュールが分からなくなるので大変です(笑)」

――響子もエマも好きな男性に真っ直ぐに愛を貫いていましたが、紗和さんはどう映りましたか?

「もし自分が同じ境遇だったらどうなるだろうって、いち女性として考えさせられました。響子にとって初めての感情が芽生えて苦しみながらも少女から大人になっていくその過程は、自分はあそこまで壮絶ではなかったと思いますけど、すごく気持ちが分かる部分がありました。エマの女性として素直に愛されたいっていう気持ちが本当に切なかったです。エマの笑顔が逆に辛く感じてしまって……。エマはすごく純粋で、私はすごく好きですね」

――最後に、紗和さんの思うこの作品の見どころをお願いします。

「『無伴奏』は、1970年前後を描いている作品ですが、私たちの世代が観ても自分の中でいろんな感情が生まれるんじゃないかと思います。当時のファッションだったり、揺れ動く心や葛藤とか……少女が成長していく姿に感じるところが人それぞれあると思います。この映画が、新しい自分を見付ける役割になったらいいなと思うし、その当時に青春時代を生きていた年代の方たちが観ても、どこか懐かしさを感じられるので、年齢や男女問わず楽しめる作品です。すごく余韻があって、ちょっと苦しいんですけど、たくさんの方に観てほしいですね。仙台に実在したバロック喫茶『無伴奏』もリアルに再現していて、原作を読んだ人も楽しめると思うので、是非劇場で観ていただきたいです!」

映画『無伴奏』は、新宿シネマカリテほかにて全国公開中!

©2015 「無伴奏」製作委員会

<関連サイト>
映画『無伴奏』 http://mubanso.com/
仁村紗和オフィシャルブログ http://ameblo.jp/pmsawa/
予告編が話題を呼んでいる映画『無伴奏』から新たな場面写真が公開 https://www.entameplex.com/archives/27350