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前田敦子「一緒に笑ったり泣いたりしてほしい」初の妊婦役を演じた映画『モヒカン故郷に帰る』が公開中

生きていれば誰しもいつかは訪れる“大切な家族との別れ”。そんな悲しい出来事を、『南極料理人』『横道世之介』などで独自の世界観を生み出してきた沖田修一監督が、オリジナル脚本でクスっと笑えるユーモア溢れるドタバタ家族劇に描き上げた映画『モヒカン故郷に帰る』。沖田監督の真骨頂ともいえる本作が現在公開中である。

主演の松田龍平演じる、緑のモヒカン頭がトレードマークの売れないバンドマン・永吉が、前田敦子演じる妊娠した恋人・由佳を連れて、結婚報告のために7年ぶりに帰郷するところから物語が始まる。
広島・瀬戸内海に浮かぶ架空の島「戸鼻島」を舞台に、矢沢永吉をこよなく愛す頑固おやじ・治(柄本明)、筋金入りの広島カープ狂の母・春子(もたいまさこ)、たまたま帰省していたしっかり者の弟・浩二(千葉雄大)といった個性豊かなキャラクターたちが繰り広げる心温まるホームドラマ。

そんな今作で、主人公・永吉を支える茶目っ気たっぷりな妊婦役を演じ切り、女優としての新たな一面をみせてくれた前田に話を聞いた。

――今作の舞台となった広島県で3月26日に先行公開されました。その舞台挨拶に参加されていましたが、現地での反響はいかがでしたか?

「たくさんの方が観に来てくれて、広島を題材にした映画の中で一番好きですと言っていただいたり、とても嬉しかったです」

――今回の映画では、父親の死をすごくポップに描いていたことにまず衝撃を受けました。大切な人との別れは必ずやってきますし、もし自分が同じ境遇に直面したらどうするだろうと考えさせられました。

「私くらいの年齢だと、親との別れとか実感が湧かないですね。両親がとても元気なこともありますが、あまりそういうことを考えたくない自分がいたりします」

――前田さんから見た田村家の印象は?

「お義母さん(もたいまさこ)をはじめ、家族の受け入れ方があっけらかんとしていて、あっという間に仲良くなっていくさまは、“こんな家族がいたら理想的だなぁ”と感じました。田村家の人たちのやり取りを客観的に見ていて、とても可愛らしい家族だなと思いました。家族って、自分たちでは気付かないけど、すごく似ているところがあるんだなぁって」

――前田さんが演じた由佳は妊婦という初めての役どころでした。

「由佳はどことなく天然なキャラクターで、前もって妊娠について調べたりする子ではないだろうなと思っていたので、お腹の中にいる赤ちゃんと共に成長していくような感じが出せたらいいなと自然体で臨みました。ほとんど順撮りだったので、撮影が進むにつれ徐々にお腹が大きくなっていくという感じで。 “僕の奥さんの時はこうだったよ”って沖田監督から実際の体験をアドバイスしていただいたり、現場で役を作っていきました」

――松田龍平さん演じる恋人の永吉は、定職に就かないデスメタルのバンドマン。由佳は彼のどこに惹かれたと思います?

「完成した作品を観た時に、ふたりの会話中の距離がすごく近いというか、雰囲気が似ているなって感じました。笑うところや価値観が一緒だったり。ある意味、似たもの同士で完璧ではないかもしれないですけど、ふたりは幸せなんだと思います。幸せかどうかは人それぞれですけど、永吉と由佳にとっての幸せは、きっと一緒なんじゃないかって」

――そんなふたりの子どもは、男の子女の子どっちが生まれたと想像します?

「ん~どっちだろう……、それは考えたことがなかったです(笑)。でも、台本の準備稿の段階では、“赤ちゃんを抱っこする永吉”って生まれたあとのことも描かれていたんですけど、男の子か女の子かまでは書いていなかった気がします」

――由佳は永吉と東京に帰った後、どんな家庭を築いたと思いますか?

「たぶん、由佳はお義母さんをいいお手本にして、きちんと母親になっていくんじゃないかと思いますね。子どもが生まれてからも、家族みんなで戸鼻島にしょっちゅう帰るんじゃないでしょうか」

――島民のエキストラや、島ののどかなロケーションが、作品により温かみを増していました。

「島の人たちが総出になって撮影に参加してくれたのが嬉しかったです。島の景色がとても素敵で、撮影の合間にずっと海を眺めていたり……、とにかく環境がよくてすごく癒されました」

――約1ヶ月に及ぶ島でのロケはいかがでした?

「ロケの最中はこの作品一色になるので、距離の縮まり方とかチームとしてひとつにまとまるのが、東京で撮るよりも早く感じました。とても明るい作品だったということも余計にそうさせたのかもしれません」

――お義母さんをはじめ、田村家との仲の良さが滲み出ていました。

「ここまで素敵な作品に仕上がったのは、私のような若者に対して、すごく優しく接してくれる先輩方ばかりだったのがすごく大きかったです。皆さんの優しさがあったからこそ、そういった雰囲気が出せたのだと思います」

――今作の現場では、沖田監督の意向で、台本に捉われず思いついたアイデアを出し合ったそうですね。

「すごく前から温めていた思い入れのある作品だということを沖田監督からみんな聞いていたので、その思いに応えたかったですし、監督にとって満足のいく作品になればいいなという気持ちでした。みんなで思いついたことを監督に言ったり、逆に監督からも“こんなの面白いんじゃない?”ってその場で試してみたり、とても楽しい現場でした」

――治(柄本明)は矢沢永吉をこよなく愛し、春子(もたいまさこ)は広島カープ狂という設定だったように、前田さんが仕事以外で夢中になっていることはありますか?

「プライベートでは、これといった趣味があまりなくて……、時間があると映画や舞台を観に行ったりしますけど、ハマっていると言うよりかは息抜きみたいな感じです」

――最後に、この作品の見どころをお願いします。

「誰にもある故郷、いつしかやってくる両親との別れが、島の景色と共にとても温かく描かれています。沖田監督の思い入れの詰まったすごく素敵な作品なので、是非映画館でのんびりと観ていただきたいです。劇場の空気感の中で、皆さん一緒になって笑ったり泣いたりして楽しんでいただけたら嬉しいです」

映画『モヒカン故郷に帰る』は、テアトル新宿ほかにて全国公開中!

© 2016「モヒカン故郷に帰る」製作委員会

<関連サイト>
映画『モヒカン故郷に帰る』 http://mohican-movie.jp/
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