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渡辺麻友、横山由依、向井地美音インタビュー! AKB48全員の気持ちがひとつになった“たかみな”の卒業

2016年6月18日、選抜総選挙史上初の2連覇、さらには過去最多となる獲得票数24万3011票を集め、指原莉乃(HKT48)の圧勝で幕を閉じた『AKB48 45thシングル選抜総選挙』。その興奮冷めやらぬ中、AKB48の裏側に迫った禁断のドキュメンタリーシリーズ第5弾となる映画『存在する理由DOCUMENTARY of AKB48』が全国の映画館で公開されている!

昨年12月に結成10周年を迎え、アイドル界の一時代を築いてきたと言っても過言ではない彼女たちだが、本作では華やかな表舞台でみせる笑顔の裏に隠された真の姿を、秘蔵映像の数々で映し出したファン垂涎の内容となっている。

そんな本作の公開を記念し、メンバーの渡辺麻友、横山由依、向井地美音に、今年の選抜総選挙で感じたこと、圧倒的な求心力で同グループを牽引してきた高橋みなみの卒業、さらには、AKB48のこれからなど話を聞いてみたのだが、3人が口を揃えて語ったのは意外にもグループ存続に対する“危機感”だった。

“あ、これでAKB48は終わりだなと思った”(渡辺)と、赤裸々すぎる発言まで飛び出した彼女たちが抱える苦悩や葛藤とは――。

――まず、先日行われた『AKB48 45thシングル選抜総選挙』での順位をどう感じていますか?

横山由依(以下、横山)「今回、順位は昨年からひとつ落ちて11位だったのですが、今までとは違って総監督という立場でメンバーのスピーチに耳を傾けられましたし、ランクイン出来なかったメンバーがランクインしたメンバーのことを自分のことのように喜んでいる姿を見られたり…。そういうAKB48グループの良さを総選挙の場で改めて感じることができたと思います。今のメンバーと一緒にこれからも頑張っていきたいという気持ちを再確認することができたので、特別なものになりました」

――向井地さんは、昨年の44位から13位と大躍進でしたね。

向井地美音(以下、向井地)「私は3度目の総選挙だったのですが、今年は総選挙前のシングル(『翼はいらない』2016年6月1日発売)でセンターを務めさせていただいたばかりだったのでかなり不安もありました。でも13位という素晴らしい順位をいただけたので“ファンの皆さんに少しは認めてもらえたのかな”って本当にうれしい気持ちでいっぱいでした。これからはこの13位という順位に恥じないような1年にしなくてはいけないですし、もっともっと頑張りたいと思います」

――これからのAKB48を担っていく存在として、周りの期待も大きいのでは?

向井地「15期生の私がセンターを務めさせていただけると聞いた時は信じられなかったです。と同時に、今は次の新しい世代を作っていかなきゃいけない時期なんだなとも感じました。でも、AKB48の“芯”のようなものはずっと大切にして、繋げていきたいです。劇場公演でいっぱい汗をかいたり、総選挙で涙を流したり、真剣に“青春”している姿というのをこれからも見せていけたら、きっとその時代時代で共感してくれる人がいるんじゃないかと思います」

――渡辺さんは、惜しくも2位でした。

渡辺麻友(以下、渡辺)「すごく悔しがってるんだろうなと思ってみんな気を遣ってくれているのか、『おめでとう』って全然言ってくれないんですよ(笑)。私の中では、1位になれなかったから悔しいという気持ちはまったくなくて、去年よりもランクアップ(前年3位)したし、票数も増えたので、この結果にすごく満足しています。ファンの方が、(私を1位に)返り咲かせるために、ものすごく応援してくださったのを肌で感じることができましたし、それだけで本当に幸せです。精一杯やりきったので、今はすっきりと清々しい気持ちです」

――その選抜総選挙のスピーチで「今、AKB48はピンチだと思います」という渡辺さんの言葉がとても意外で印象的でした。

渡辺「私は、AKB48がブレイクし始めた頃から“今の状態がずっと続く訳ない”といつも思っていました。“(人気が)もう年内で終わるだろう”と思っていたら、その次の年も続いて……ファンのみなさんのおかげで結成10年を迎えることができました。全盛期に比べて今は停滞気味なことは感じていますし、だからこそ常に危機感を持ちながら活動しています」

――それはいつ頃から感じていたのでしょう?

渡辺「全盛期の頃から危機感は感じていましたが、特にここ2~3年ほど前からそういう気持ちが強くなってきました。先輩たちの努力があってAKB48がここまで大きくなったと言っても過言ではないですし、偉大な先輩たちが卒業していったことが大きかったです。“残った私たちに何ができるんだろう?”と考えたときに、“大変だけど今が踏ん張りどきだな……”って思うようになりました」

――そんな渡辺さんの言葉を聞いて、向井地さんはどう感じます?

向井地「私もAKB48がピンチだというのはものすごく感じていますし、おそらくメンバー全員がそう感じていると思います。今こうして自分がAKB48に入る前に見てきた先輩たちの姿を、改めて映像で見ると圧倒的な華があるし、誰が見ても“あっ、これがAKB48だな”っていう存在感があったと思います。そんな先輩たちに比べて、今の私たちは全然頼りないですし、“どうしよう……”って悩むこともあります」

――個々のキャラクターの確立が重要だと。

向井地「今の私がまさにそうなんですが、まだ自分自身の個性が発揮できていないに等しくて……。若手メンバーと言われている私たちはみんな“似たような感じだね”とよく言われるので、それぞれがもっと自分らしさや個性を出していかなきゃいけないという危機感はすごくあります。でも逆に今のメンバーでしか見せられないこともきっとあるんじゃないかとも思うので、それをみんなで探しながら頑張っていきたいです」

――個性という面では、横山さんはどのように感じています?

横山「顔と名前が一致するメンバーが先輩たちの代は多かったと思いますが、正直今はそれほど居ないという思いはあります。コンサートや握手会を見ていても“前はもっと人が来てくれていたな……”って思いますし、そういう意味でも危機感は感じています。先輩たちは何もないところからAKB48として、全員がひとつの方向を向いていたと思うんです。でも、私や美音は、ブレイクして出来上がった状態のAKB48に入ったので、一致団結してやってきた先輩たちに比べて、全員が同じ方向を向けているのか不安に思うときもあります。今の状態のままだといけないという危機感を、メンバーだけでなくスタッフさん含め全員が感じるようになりました。だからこそ、また新しいAKB48をお見せできると信じて頑張っています」

――そういう危機感を感じながらもAKB48は“10年”続いてきました。

渡辺「私はAKB48に加入してちょうど10年目なのですが、この10年はあっという間でした。私が入った当初は、全然テレビ出演もなくて、まだ全く売れていない状態でしたが、そこから徐々にAKB48が世間に知られていって……。思い返してみると、1期生・2期生の先輩たちがいかに凄かったのかということを、居なくなってものすごく感じました。今思うと、そんな偉大な先輩たちの背中を見て活動出来たことは、本当に貴重な経験をさせていただいていたんだなと思います。でも、今は下積み経験のあるメンバーがほとんどいないから、私は、それを経験した立場として何か後輩に伝えられることがあるんじゃないか、受け継いでいかなきゃいけないという気持ちが芽生えました」

――向井地さんは、ファンとして憧れの存在として見ていた頃のAKB48と、実際に入ってからとではイメージは変わりましたか?

向井地「AKB48に入って最初に思ったのは、アイドルも人間なんだなということでした(笑)。ファンとして見ていた頃は、キラキラとすごく輝いていて、ある意味生きている感じがしないくらい手の届かない存在だと思っていたんですが、実際に入ってみたら悲しいことや苦しいこともたくさんあるし、同じ人間なんだなって実感しました。それこそ今回のドキュメンタリー映画で描かれているようなことが、現実に起こっているからこそAKB48は面白いんだなっていうのをすごく感じています」

――横山さんもこの10年、いろんなことがあったと思います。

横山「私がAKB48に入ったのは高校2年生の時で、AKB48が結成された頃は13歳で普通の中学生生活を送っていました。AKB48グループのオーディションを受けて3回目でようやく合格して今に至るんですが、自分はAKB48に出会ってすごく変わったなと思います。学生時代は勉強もほとんどしないし、バイトして部活してという、ごく普通な感じだったので、そんな私が今こうして総監督としてやらせていただいているというのは、昔の自分からしたら全く想像もつかないです(笑)。人生何があるか分からないというか、想像もしていないことが本当に起こるんだなって思います」

――実際に加入してみて、自分の中でAKB48はどう変わっていきました?

横山「AKB48のことを考えない日は絶対にないくらい、自分の中でとても大きな存在になっていますし、AKB48は今の自分の全てです。ここで出会ったメンバーやたくさんの方々、いろんな感情も……。この先、自分の人生においてAKB48にいた時間というのは、ものすごく大切なものになるんだろうなって感じています」

――たかみな(高橋みなみ)さんの卒業はAKB48にとって大きな分岐点だったと思いますが、「これからも繋いでいってほしい」というたかみなさんの想いは、それぞれどう受け止めましたか?

横山「たかみなさんが卒業を発表する前に、『AKB48を卒業しようと思っていて、由依を総監督に指名したいんだけどどう?』って言われたんです。総監督として、たかみなさんがずっと大事にしてきたAKB48を旅立つということ、それを人に託そうとしているっていうことの重大さに動揺しましたが、次の夢に向かおうとしているたかみなさんを心から応援したいと思ったので、素直に“はい”と伝えました。たかみなさんや先輩たちが築いてきたものを自分たちが壊したなんてことは絶対にあってはならないと思っていますし、今いるメンバー全員で頑張ろうという気持ちです」

渡辺「たかみなさんがいなければAKB48はここまでまとまっていなかったと思います。デビュー当初から本当にお世話になりましたし、一番尊敬していた先輩だったので、たかみなさんが卒業を発表した時は、たかみなさんの居ないAKB48というのが考えられませんでした。正直、こんなことを言うのもなんですが“あ、これでAKB48は終わりだな”って思いました。それくらいAKB48にとってたかみなさんは大きな存在だったので……。でも、たかみなさん自身の未来も人生もあるから、やっぱり残った私たちがやっていかなきゃいけないんだなって強く感じました。卒業していった先輩たちが作ってくださったAKB48をここで終わらせないように繋いでいくことが、私たちの使命だと思っています」

――たかみなさんという大きな存在が居なくなったことが、またひとつの方向に向かってメンバーが一致団結するきっかけにもなったんでしょうか?

渡辺「そうです。もっと頑張らなきゃという気持ちがより強まりましたし、メンバー全員がそういう危機感を持つきっかけになったと思います」

――向井地さんは、3人の中で一番新しい世代ですが、たかみなさんからのメッセージをどう受け止めましたか?

向井地「これまで15期生だけでステージに立ったことがなかったんですけど、たかみなさんの最後のプロデュース公演(全8公演)で、今年の2月にたかみなさんと15期生11人で『いちごちゃんず公演』というのをやらせていただいたんですが、それが私たちにとってとても大きな経験になりました。最後にたかみなさんと一緒にステージに立てたこともそうですが、そこでたくさんのことを教えていただきました。たかみなさんが最後に『ひとつのものをメンバーみんなで作りあげていく楽しさを15期生のみんなにも知って欲しかった』と仰ってくださったんです。一生懸命やるのは当たり前で、メンバーがひとつになれなかったら、ファンの方ともひとつに繋がれないということをたかみなさんから学んだので、これからのAKB48に活かしていきたいです」

――向井地さんはセンターも経験し、“次世代”と称されていますが、かつての渡辺さんや横山さんたちも“次世代”と言われてきたように、AKB48第2章というワードも頻繁に耳にしてきた感があります。

渡辺「“何回第2章やるんだよ!?”って(笑)。やっぱり前田(敦子)さんが卒業したときは、ひとつの時代が終わったような感覚がありました。そこでひとつ区切りがついたというか……、私の中ではその時が第2章のはじまりで、体感的に今は第4.5章くらいに至ってます(笑)」

横山「第2章もそうだけど、次世代ギャグみたいだよね(笑)」

――AKB48がもう10年続くためにはどうすればよいでしょう?

横山「AKB48というグループ自体は知っていただいていると思うんですけど、その中身である今のメンバーのことを知らない方がたぶん多いと思うんです。だから“今のAKB48にはこういうメンバーがいるんだよ”っていうことをまず知ってもらうことが大事だと思ったので、昨年は大阪駅でフリーライブを開催しました。そこで『ヘビーローテーション』など人気の曲を新しいメンバーで披露するという試みをしました。先輩たちが残してくれたヒット曲などを通して私たちのことを知ってもらえたら、そこから今の私たちの曲や新しいAKB48をどんどん知ってもらいたいですし、今はそういう時期なのかなって思います」

――この作品を観て、「私もAKB48グループに入りたい!」と憧れて門を叩く女子もいると思いますが、そうしたまだ見ぬ将来のメンバーに向けてメッセージを。

向井地「私も大好きだったAKB48にこうして入ったことで人生が変わりましたし、ドキュメンタリーの中でもあるように、何回もオーディションに挑戦して加入したメンバーもいるので、本当に人生何があるか分からないですし、まずは挑戦することから始めてほしいなと思います」

横山「私もそうでしたが、自分の変わるきっかけになれるグループだと思うので、一緒のステージに立てるのを楽しみにしています!」

渡辺「このドキュメンタリーは、ある意味丸裸なので……(笑)、大変そうって思うかもしれないけれど、AKB48に入ることによって人として成長できるし、いろんな感情を味わうことができるので、ちょっとでも受けてみたいなとか迷っている人がいたらぜひ勇気を出して一歩踏み出してほしいなと思います」

――最後に、渡辺さんはAKB48がもう一度全盛期を迎えるためには何が必要だと思います?

渡辺「運やタイミングなどいろいろとありますが、今はただひたすら頑張るしかないと思います。たかみなさんが卒業して、総監督が由依に引き継がれて、新たなスタートを切ったという気持ちなので、また一からコツコツと積み上げていって、もう一度国民的アイドルグループと言われるような……そんなAKB48になりたいと思っています。それは本当に過酷な道ですが、みんなが新しい気持ちで同じ方向を向いてやっていけば、今とはまた違った景色が見られると信じて、力を合わせていきたいです」

映画『存在する理由 DOCUMENTARY of AKB48』は、全国公開中!
企画:秋元康 監督:石原真 配給:東宝映像事業部 
©2016「DOCUMENTARY of AKB48」製作委員会

Photo by 竹内洋平

<関連サイト>
たかみな、前田敦子と涙ながらのデュエット! AKB48卒業コンサートの感動がよみがえるダイジェスト映像公開
https://www.emotent.jp/corp/guide/studio/30104

川栄李奈、AKB48選抜総選挙に「全然関係ないのにすっごく緊張しました(笑)」3位の松井珠理奈とドラマ共演
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“AKB48はあと10年続くのか?”強烈なキャッチが踊る『存在する理由 DOCUMENTARY of AKB48』のビジュアルなどが解禁
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映画『存在する理由 DOCUMENTARY of AKB48』
http://www.2016-akb48.jp/