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祝・甲子園開幕! 今年の見所&注目は? 高校野球芸人トータルテンボス藤田に聞く初心者も必見の甲子園の楽しみ方


8月7日に開幕した夏の甲子園(第98回全国高校野球選手権大会)。「アメトーーク!」をはじめ様々なメディアで取り上げられ、関連アイテムなども多々発売。その人気はうなぎ上りで、昨年の入場者数はなんと86万2千人。今年はリオ五輪が同時に開催されてはいるものの、日本の夏の風物詩として確実に盛り上がること間違いなし! そこで今回は「アメトーーク!」の高校野球芸人でもおなじみ、先日はなんと初の甲子園本「ハンパねぇ!高校野球」を発売したトータルテンボスの藤田憲右にその魅力と今年の甲子園の注目点、さらには高校野球のちょっとした秘密についても聞いてみた。高校野球ファンならずとも必読! これを見れば甲子園がより楽める!

■生粋の高校野球芸人、藤田憲右が語る本当の高校野球の魅力とは?

高校野球の魅力といえば、高校生達のピュアな姿に誰もが胸を打たれ感動、そして涙……なんてありきたりな答えが藤田から返ってくるはずもなく、彼が考える最大の魅力としては、まずは“期間限定”という点。

「高校生活3年間、部活動となると厳密には夏に引退してしまうので2年半しかない。それは大学、中学も同じなんですけど、高校野球がグッとくるのは一番人間形成がされているときだからなんですよね」(藤田)
藤田曰く、大学生は大人で、中学生だとまだ子ども、その中間の高校生だからこそその成長具合もハンパなく、その間の期間限定であることが大きいとか。そしてもうひとつ、甲子園に関して言えば一度限りのもの。トーナメント戦であることも大きい。大学、プロはリーグ戦になってしまうわけで。

「トーナメントは10回やって1回勝てればいいんです。だからドラマが生まれるし、実際甲子園はそういったケースが結構あるんですよ。例えば2007年の夏の甲子園決勝、佐賀北vs広陵なんてまさにそう」(藤田)
あと付け加えるとたらメンタルも。藤田は高校生たちの“脆さ”がまたいいと言う。超高校級と言われるスターもやはり高校生。彼らも他の選手と同じようにメンタルの部分はプロに比べて全然弱く、一方でメンタルで勝つ、勢いに乗ってしまうとそのまま勝ち進んでいく、若さならではの勢いもあるのが面白み。
「技術は自分でしか磨けない、いわば積み重ねですけど、試合ではメンタルの部分がそれ以上に大きいんですよ。そして、それは大人、つまり監督の一言がすごく左右する。試合中唯一大人が介入できるのはそこだけなんですよ」(藤田)

■高校野球は監督で決まる!? ただし、最強のチームだけはそうじゃない!?

著書「ハンパねぇ!高校野球」の中でも、藤田は高校野球における監督の存在はめちゃくちゃデカイと力説(7割は監督で決まるとか!)。それは指導もさることながら、教育とリンクする高校野球ならではのこと。

「高校野球は根底に教育があるから面白い。単純に技術を教えるのはプロ野球のコーチで、高校野球はそこに教育が関わってくる。だから深い」(藤田)

ただ、意外にも最強のチームということを考えるとそうでもないらしい。
「普通のチームは監督の存在が大きいんですけど、最強のチームって誰が監督をやってもいいチームなんですよ。例えば全盛期のPL学園がそう。あれは自分が監督でも日本一に成り得たと思いますね。しかも、PLはそういう教えもしていたし」(藤田)

また、もし監督をやれる機会があればやってみたいか聞いてみると、「やってみたい」と即答。長年高校野球を追いかけている藤田にはそれこそ膨大な情報量があるだけに、それはかなりのプラスになると思ったら、実はそうではないらしい。情報は情報で高校野球の本質には関係ない。しかも実際に動く選手は人それぞれ全然違う。でも、だからこそ楽しいとも彼は言う。それは、これまで何度も甲子園で優勝に導いた名将:木内監督も。
ちなみに、これは著書にも書いてないことなのだが(彼自身つい最近このことを知ったとか、つまり最新情報!)、高校野球のイメージは昔からきつい練習、軍隊教育のような部分がある(最近は変わってきているようだが)。それはなぜかと言えば、海軍の存在があったとか。戦後海軍が野球を教えていたらしく、軍隊教育はその名残。しかもそれだけに有名な海軍があった広島然り、神奈川然り、昔から海が近い場所の学校が強いとか。そして、戦後の日本国民が沈んでいた気持ちを盛り上げるために地域対抗戦、いわゆる甲子園がフックアップされた(当時はスポーツというか、野球しかそれができなかったこともあって)。戦後の日本国民の気持ちを救ったのが高校野球だったと思うと、それはやっぱり深い。

■今年の夏の甲子園、どこが勝つかわからないまさに群雄割拠の面白み

では、8月7日に開幕する今年の夏の甲子園。その見所について聞いてみると。

「最近は頭が抜けたチームが多かった。去年で言えば東海大相模や大阪桐蔭とか。そういった前評判の高いチームが順等にベスト8に残っていたんですけど、今年は拮抗、激戦ですね。全然読めない」(藤田)
確かに春の選抜で準優勝の香川・高松商はなんと地方予選で敗退。春ベスト8まで残った学校が今回はわずか3校しか出ていないのだ。ただ、そんな中でも注目しているチーム、選手についてもう少しツッコんでみると。

「戦力的に言えば、やはり履正社(大阪)と横浜(神奈川)が抜けてますね。どちらの高校もピッチャーがいいんですよ。それもプロ注目のエースに加えて2番手もいい。それは大きいですね。横浜に関して言えば打線も歴代最強、予選では神奈川のホームラン記録を塗り替えてます。ただ、唯一のウィークポイントがあるとしたら、平田監督が初采配ということですね」(藤田)
ここでもまた監督論。横浜高校は昨年長らく監督だった渡辺監督が勇退。新たに平田監督が就任した。それにより横浜はガラッと方針がチェンジ。渡辺監督の教えを継承するわけではなく、平田イズム、選手ひとりひとりが判断する考える野球、自主性を重んじる自由なスタイルがどう転ぶのか注目しているという。

■甲子園初心者のための、より楽しめる(より深みにハマる!?)見方とは?

高校野球初心者には入門編とも言えるような、藤田の著書「ハンパねぇ!高校野球」をぜひ読んでほしいところだが、ここではあえて本にはない注目点を聞いてみた。
「ピッチャーのスピードですかね。やっぱり球が速いピッチャーはアイコンになっていますし、初心者にはわかりやすいと思います。打線は水物ですから」(藤田)
“打線は水物”、つまり打てるかどうかはわからないということ。
「すごく注目されている球の速いピッチャーがいて、それに対する打線。抑えたらやっぱりピッチャーがスゴくて、打たれたら打線がスゴいわけですけど、例えばその打線が次の試合では他のピッチャーに抑えられた。しかも、前の試合のピッチャーよりも球が遅いピッチャーに。ってことは、球の速さが全てじゃないとなると……それだけで一歩進んで面白くなると思うんです。球の速さじゃなければコントロールか。でも、それだけじゃやっぱり抑えられない、すると何が必要なのか……とかどんどん深みにハマっていく(笑)」(藤田)
そしてワンランク上の方には打線やデータも。
「高校野球って究極的には打線は関係ないんですよ。その大会でアタってる選手はとにかく打つし。ラッキーボーイが出てくる。ただ、もちろんそれまでのデータ通りめちゃくちゃ打つ選手もいて、それはうまい選手。そういったことを考えながら見て、最終的にベスト8ぐらいになると面白いですよ」(藤田)

■甲子園で名試合が生まれる理由……そこには高校生達の○○が!

それこそ長い甲子園の歴史の中では数々の名試合が生まれているが、果たしてそれはどんな試合なのか。藤田に名試合と呼ばれる理由について聞いてみると。
「想像できないことが起きちゃうことじゃないですかね」(藤田)
名試合と呼ばれるものの多くはメイクミラクル、逆転につぐ逆転のドラマ。それは確かに誰も予想しえなかったこと。ただ、それだけではないようで。
「あとは粘りですよね。言い換えると意地というか。試合の終盤は確実に高校生たちの意地のぶつかり合い。その意地が出るほど名勝負が生まれると思いますね。やっぱり高校生は感情が脆くて、最後の最後に意地、強い気持ちを持ってる方が勝つんですよ。それに飲まれたら負ける。」(藤田)
真夏、炎天下の中で終盤は誰もがキツイはず。そんな中で選手たちは必死に頑張るわけだが、最近はその姿もちょっと変わってきているようだ。例えば高校野球の名門、星稜高校は“必勝”ならぬ“必笑”を合言葉に窮地に陥ったときほど笑顔を絶やさない。
「普通は極限状態で、特に負けていれば鬼の形相で気合を入れるところ、彼らは笑ってる。それは今まで僕らが知っていた高校野球にはないことで、今の時代にはすごく合ってると思うんですよね。僕らの時代は勝とうぜ、意地見せようぜでしたけど、彼らは最後まで楽しんでる。こんな試合ができて最高じゃねーか、楽しもうぜって。その気持ちがメイクミラクルを生む。実際、2014年の石川大会の決勝では最終回に8点差を逆転してますからね」(藤田)

■藤田が今後の高校野球に望むこと……ただし、そこには大きな問題も!?

最後に今後の高校野球についても聞いてみた。

「試合ではなく、高校野球自体が変わっていってほしいですね。最近も話題になってましたが、女子選手も認めていいと思いますし。そういう意味では去年、オコエ瑠偉君が活躍したときに甲子園がメジャーのスタジアムみたいになって、あれはちょっと新しい時代がきた感じでかっこよかった」(藤田)
今では高校生スポーツも海外留学生が活躍しているが、高校野球はそれがない。だからこそ、もっとワールドワイドになってもいいのではと藤田は語る。そして、個性溢れるチームが出てくることでまた高校野球も変わってくるのではと言っていた。また高校野球、甲子園のシステム自体にもこんな意見が。
「要点としてはベンチ入りのメンバーを増やすこと。そしてピッチャーも分業制にしたら面白いと思う」(藤田)
現在、甲子園のベンチ入り人員は18人。それを20~25人まで増やしてはどうかと彼は言う。そうすることで今までベンチに入れなかった選手も入ることができる。それは確かに素敵なことだと思う。一方で分業制に関しては理想ではあるが、実際は難しいとか。
「球数制限など、選手の未来があるのでなんらかのルールを作った方がいいと思うんだけど、そうもいかないようなんですよね。以前現役の高校生に話を聞いたら、それはわかるけどもしそうなったら悔いが残ると思うって言ってたんです。これはこれで難しい問題。将来のことを考えたら、絶対に肩を酷使しない方がいいんだけど、それを望んでない人たちも確実にいるわけで」(藤田)
果たして高校野球の未来はいかに!?

■おまけ1……なぜ高校野球は金属バットなのか?

なぜプロや社会人、大学野球は木製バットなのに、高校野球は金属なのか、不思議に思う人も多いはず。どうせなら一緒の方が絶対にいいと思うのだが(ちなみに木製より金属の方が球が飛ぶ)。
「日本の野球のことを考えるなら、バットは金属から木製に変えるべきだけど、お金の問題が大きいんですよね。木製だと折れてしまい、そしたらお金がかかるわけで。実際、学校の予算の問題というのは大きいんですよ。設備の問題とかも含めて」(藤田)

■おまけ2……甲子園のスターが必ずしもプロにならない理由とは?

甲子園で活躍したスターはみんな必ずしもプロになるわけではない。普通に考えればそれはもったいないと思うのだが……。
「本人の考え方、親の考え方があるんですよ。あと、一番は僕らが思っているよりプロのレベルって相当高い」(藤田)
藤田曰く、甲子園で活躍した選手が卒業後即プロに入っても下の下。甲子園で二打席連続ホームランを打ったとしても、プロに入って活躍できるかと言ったらそんなことないそうだ。例えば、プロの2軍の選手が田舎の高校に2人入ったら甲子園に行ける。それぐらいプロのレベルは違うと言う。
「プロの選手なら甲子園でも5打数3安打は打つと思うし、金属ならホームランもガンガン打つと思いますね。ピッチャーをやらせたら、高校生はまあ打てない。投げる球質がもう違うんですよ。高校生が投げる150キロの球とプロが投げる140キロの球も全然違う。とにかく打ち辛いんです」(藤田)
今プロで活躍する日本ハムファイターズの大谷翔平選手のような特別スゴい選手もいるが、一方でかつて甲子園でチームを優勝に導いたハンカチ王子こと斎藤佑樹投手などは今なおプロでもがいている。やはり、高校生とプロでは段違いのようだ。
「同じまっすぐでも全然違う。変化球にしろ、プロだったら高校生の球は確実に見極めてしまうんです。甲子園で前人未到の奪三振記録を作った東北楽天ゴールデンイーグルスの松井裕樹投手もプロに入ったら最大の武器のスライダーが通用しなかった。そこで彼はチェンジアップを覚え、まっすぐの精度をあげたので活躍することができた。プロと比べたら、高校生は本当に未熟なんですよ」(藤田)

藤田憲右『ハンパねぇ! 高校野球』(小学館よしもと新書)
2016年7月3日発売/定価780円(税別)

藤田憲右流 高校野球観戦の目のつけどころ!
●高校野球は「監督」で見ると、もっと深くて面白い!
●甲子園の開会式でプラカードを持っているのは誰?
●全国で唯一、私立高校が出場してない県がある?
●73回も甲子園に出場している高校がある!
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●東北の野球留学は、あの県から始まった!

<関連サイト>
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