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木暮太一の、勝手に商品解説 #1『プライベートブランドってなに?』

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『カイジ「命より重い!」お金の話』『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』など、これまでに36冊もの著書を手掛け、累計110万部を達成! また、朝の情報番組でコメンテーターも務める注目の若手経済ジャーナリスト:木暮太一が世の中のわかりづらいあれこれを、わかりやすく解説していきます。記念すべき第一回のテーマは、「プライベートブランドってなに?」

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コンビニや大手のスーパーに行くと、そのお店のマークが入ったお菓子やジュースが売られています。あれは一体、何なのでしょう?
そのコンビニやスーパーがどこかに工場を持っていて、そこで作っているのでしょうか?

じつは、あの独自のマークが入った商品は、小売店が生き残りをかけた大事な商品なんです。

これまで、スーパーやコンビニでは各メーカーが作った商品が並べられていました。グリコや森永、サントリーなど、メーカーの商品が売られていましたね。でも最近は、小売店が独自にロゴマークを作り、独自のブランドで商品を作っています。

———「最近、よく見かけるね」

お菓子やジュース、お酒もありますね。コンビニやスーパーなど小売店が自分たちで商品を作って売り始めているんです。これを“プライベートブランド”といいます。

———「ほぉ〜」

最初にプライベートブランドで売られたのは、百貨店の大丸が発売した紳士服と言われています。1990年代から本格的に他の大手の小売店も同じような取り組みを始め、7、8年前くらいからいろんな会社が手掛けるようになりました。

———「でも、なんで? メーカーから商品を仕入れられなくなっちゃったの?」

そうではありません。小売店は、前と同じように商品を仕入れて売ることができます。しかしそれをやめて、自分たちの開発した商品を代わりに置こうとしているわけです。なぜそうするのでしょうか?

———「……全然わかんない」

簡単に言うととても単純で、“そのほうが儲かるから”です。
小売店はメーカーから商品を仕入れて、それを“定価”で売ります。この“仕入れ値”と“定価”の差額が小売店の利益になります。つまり、どれだけ頑張っても、この差額以上は儲からないんです。というより、定価よりも安く売らなければ買ってもらえません。
仕入れた商品を、定価以上に高く売ることができれば、もっと儲かります。でもそれはできません。

———「そうなの??」

メーカーが作った商品は、いろんなお店で売ってます。だから、自分のお店だけ高くしたら、お客さんが他のお店に行っちゃうんです。もしくは、メーカーから商品を、もっともっと安く仕入れることができたらいいですが、それも限度がありますね。

———「そっかぁ……」

でも、自分で作った商品は工夫次第で安く作ることができますし、商品に魅力があれば高く売ることもできます。それを狙っているんです。

———「なるほどねぇ。じゃあみんな同じことを考えるんじゃない?」

その通りです。「プライベートブランド」は、小売店が利益を増やそうと考えた結果です。どのお店も同じことを始めているんです。この傾向は、これからも続きます。
そして、お客さんにとってもいい点があります。それは、“安く買える”ということです。プライベートブランドの商品は安く作れます。だから安いんです。

———「なんで安く作れるの?」

通常のメーカーが商品を作ると、デザインや宣伝にすごくお金をかけます。そうじゃないとスーパーやコンビニで“売れる場所、いい場所”に置いてもらえないからです。でも、小売店が自分で作る時は、デザインにそれほどお金をかけなくてもOKです。また、他の商品が目当てで来たお客さんに“うちが作った商品もありますよ〜”と売り込めるので、それほど宣伝する必要もありません。だからお金があまりかからないんです。

———「だから安く作れるのかぁ」

メーカーから仕入れるのと違って、すべて自分たちの好きなようにできます。値段も自由につけられるので、一番売れそうな値段にできますね。たとえば、有名な○×チョコレートが100円だったら、それより10円安い90円で自分の商品を売ります。お客さんに“○×チョコもいいけど、こっちの方が安いですよ〜”と売り込めるんです。

今回はここまで。この続きは次回で。
プライベートブランドがどうやって作られているのか、そしてそのメリットを紹介していきます。お楽しみに!

<関連サイト>
木暮太一 公式ブログ http://ameblo.jp/koguretaichi/
木暮太一の、勝手に商品解説 #2『プライベートブランドってなに?』後編  https://www.entameplex.com/archives/7122