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いやデカすぎだろ…届いたプレスリリース、サイズに憤慨

2022.11.10


「おかあさんといっしょ」(NHK・Eテレ)で「ひろみちお兄さん」として親しまれてきた佐藤弘道が出演するWeb動画が話題を呼んでいる。11月9日発売のPlayStation(R)5(PS5)/ PlayStation(R)4(PS4)用ゲームソフト「ゴッド・オブ・ウォー(GoW)ラグナロク」の宣伝動画で、子ども向けの教育番組めいたセットを背に、佐藤が童謡のようなリズムで「おや、デカい敵♪ 斧投げ、弓矢、斬撃♪」と歌うというもの。

シリアスなゲーム内容とはかけ離れた、ほんわかとしたギャップが受け、YouTube上では公開から2日で17万回以上の再生回数をたたき出した。

「そちらにもプレスリリースを郵送するので、記事を書いてほしい」。広告会社から連絡があったのが、動画に関する反響がネットにちらほらと上がっていたころ。「GoW」シリーズを最初から追ってきた記者は、喜んで引き受けた。ところがこれが大きな間違いだった。

ご存知の方もいるかもしれないが、プレスリリースとは報道機関に向けた情報の提供・告知・発表のことで、紙やPDFデータで渡される。一般的にはわざわざ郵送せず、データで送ってくる場合が多い。よほど機密の内容なのか……。

事務所のインターホンが鳴る。玄関を開けると、立っていたのは巨大な鈍器を手にした男だった。一瞬、GoWの世界に入り込んだかと脳がバグって身構えるも、よく見ればそれは敵ではなく配達員。手に持っているのは棍棒ではなく、ポスターなどが傷つかないように入れる筒だった。つまり届け物だ。これがプレスリリース?

開封してみた。出てきたのは確かに“プレリ”だった。四角い枠組みの中に「佐藤弘道が斧投げ&斬撃!?」とタイトルが記され、その下には「株式会社ソニー・インタラクティブエンターテインメントは、2022年11月2日、タレント・医学博士の佐藤弘道さんが出演するWeb動画『ごっと・おぶ・うぉー らぐなろくのうた』を公開しました」とリード文が続く。

典型的なフォーマットで特に問題はない。ただデカいのだ。測ってみると、ふざけておられるのだろうか、横幅は1メートル3センチ、縦幅は1メートル46センチである。146センチといえば、小学6年生男子の平均身長(2020年、文部科学省)とほぼ同じ。GoW新作のCMでは「デカい敵」「デカい親子愛」と「デカい」がキーワードになっている。だからプレリも「デカく」したのだろうが……。

いやこれ、どうすんだよ。どうしろっていうんだよ。「デカい敵に驚愕、デカい親子愛ににっこり」じゃないんだよ。まず憤慨した。しかし、しばらくするとその異様な情熱みたいなものに敬服の念が湧いてきた。紙質はなめらかで印刷はカラー、つまりは結構なお金がかかっている。大の大人が時間とお金をかけて、小学生が考えたようなことを実現しているのである。

合理主義と真逆の姿勢は、本来の広告のあり方のような気がしないでもない。これは、直接的にゲームの内容を知らせるだけに終始しない、ひろみちお兄さんの動画にも共通することだ。遊び(ゲーム)の宣伝なんだから、こんなふうに広告もちゃんと遊ばないとだめだよなあ、と壁の一部を占拠した、貼り付けたプレリを見ながら改めて思った。でもこれ、どうしよう……。

<関連サイト>
『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』 公式サイト
https://www.playstation.com/ja-jp/games/god-of-war-ragnarok