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親子の絆を深める“交換こけし”、夏休の伝統工芸ワークショップが大盛況

8月8日は、「親孝行の日」。その由来は、“88”が「ハハ」や「パパ」と読めることや、“88(ハチハチ)”の読みを並びかえると「ハハ(母)チチ(父)」となることなどから、1989年に親孝行全国推進運動協会によって制定されたのだとか。

そんな「親孝行の日」にちなんで、8月8日、9日の2日間、親子向けの伝統工芸品ワークショップが東京・二子玉川にある蔦屋家電にて行われた。このイベントは、伝統工芸を通じて世代を超え続いていく価値の大切さを子どもたちに体験してもらおうと企画されたもの。

親子で伝統工芸に触れられる珍しい機会とあって、2日間ともに募集定員は満員となるほどの盛況ぶり! なかでもたくさんの親子が参加したのは、宮城県大崎市の伝統工芸品である鳴子こけしの絵付け体験。

イベントでは、鳴子こけし職人の菅原和平氏が講師を務め、絵付けについてひと通り説明すると、子ども達は一心不乱にこけしに筆入れしていく。

そんな様子を見た菅原氏は「すごいアイデアですね!」と、子どもたちが作った独創的なこけしの数々に驚きの表情を浮かべ、「完成したこけしは、世界でたったひとつのこけしですから大切にしてもらいたい」と、やさしく声を掛けていた。

今回、子ども達が絵付けしたこけしの胴体部分は、中が空洞になっており、手紙などを入れることが出来ることから“交換こけし”と言われている。

会場内でも、日頃の感謝の気持ちをしたためた手紙を入れたこけしを子どもから親へ、また逆に親から子へと、それぞれプレゼントし合う微笑ましい光景がちらほら。子ども達から“いつもありがとう”と直接こけしを受け取った両親は「夏休みのいい思い出になりました」「部屋で大事に飾りたい」とプレゼントに感激する姿も。

そんな親子の絆深まるこのワークショップ。これは、同所で同日開催された「アーツ&クラフツ商會」出張展の一環として催され、展示ギャラリーには、鳴子こけしの交換こけしのほか、江戸切子×電気スイッチ、美濃和紙×スリッパ、有田焼×クリスマスツリー、尾張七宝×表札など、手仕事にこだわった熟練職人達による質の高い工芸品がズラリ。この日は、そんな後世へと受け継ぐべき名品の数々を毎回ひとつの伝統工芸技術に注目し、その技を現代のライフスタイルの中にあるアイテムと組み合せ作成した品物を紹介するテレビ番組「アーツ&クラフツ商會」(BS朝日・毎週月曜放送)のナビゲーターとして出演する俳優の渡辺いっけい氏が、トークショーを行った。

渡辺氏は番組内で演じているおしゃべりな4代目店主・森須護(もりすまもる)に扮した衣装で登場。「役者という仕事も物を作るという意味では、(伝統工芸の職人さんと)シンクロする部分があると思います。僕自身も職人気質と言われる役者になりたいと思っていますから、尊敬する部分が多く、この番組に携われて嬉しい」と、職人達への尊敬の念を口にした。

また、トークショーには菅原氏も出席。昨今、こけし好きの女子=“こけ女(じょ)”なる言葉が生まれたようだが、それを裏付けるかのようにイベント会場にも多くの女性が詰め掛けていた。イベント途中、菅原氏によるこけしの顔への絵付けも行われ、こけし作りを始めて48年目という菅原氏の職人技を目の前で見た渡辺氏は、「シンプルな表情の中に、子どもの可愛さや親の愛情が豊かに感じられて、素晴らしくて感動しました」と感激しきり。

同番組、そしてこの日のイベントのコンセプトでもある“ずっと変わらない価値”について渡辺氏は「伝統工芸と聞くと“ずっと守っていかなくてはいけないもの”と考えがちなんですが、菅原さんを含め一流の職人さん達に話を伺うと、その時代の人達に向けて何が出来るかということを絶えず考えている気がするんです。インディゴこけしなどもそうですけど、それまでの伝統を打ち破ってちょっとずつ革命を起こしたり、新しいことも取り入れながら、続いていくものなんじゃないかと感じますね。どんなに辛い時期があっても前を向いてブレないことが大事、矛盾するかもしれませんが、守りに入らずに攻める姿勢が、(伝統工芸を)継承することに繋がっていくんじゃないでしょうか」と独自の目線で見解を述べつつも、「役者として、しょっちゅう挫けています。でも、そんな自分を奮い立たせるためにも、伝統工芸の職人さんの言葉を聞いたり作品を見ると、もっと頑張ろうと思う瞬間がありますね」と、熱く語っていた。

「アーツ&クラフツ商會 presented by セキスイハイム」は、BS朝日にて毎週月曜よる11:00~11:30放送。

<関連サイト>
「アーツ&クラフツ商會 presented by セキスイハイム」 http://artsandcraftsco.com/