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“ちょっと普通の神経じゃない” 名優:藤竜也が語る世界の北野武の魅力


“けったいな映画ですよ”
と語りつつも
“こういった作品に出れたことはラッキー”
今年で74歳となる名優:藤竜也にこうも言わせた映画『龍三と七人の子分たち』。

世界の北野武監督のもと制作され、今年の春に公開。主要キャストの平均年齢が73歳という過去に例を見ない作品ながら瞬く間に大ヒットし、数ある北野作品の中でも『アウトレイジ ビヨンド』を抜き、『座頭市』に継ぐ歴代2位の興行収入を記録した今作がいよいよBlu-ray&DVDとなり10月9日に発売となる。それを記念し、今回は改めて主演の藤竜也にインタビュー。“けったいな映画”について聞く前に、まずは北野監督について伺うことに。

――今回、北野作品に初出演。北野監督の印象はいかがでした?

「ビートたけしとしてテレビに出てるときと一緒でしたね。全然変わらないから、それはそれでまた面白かった。ピコピコハンマーを持って頭を叩いたりとか、テレビでよく見る(お笑い芸人的な)ことはやらないだけで……やってもおかしくない感じもあったけど(笑)。ただ、やっぱりオーラはありましたね」

――それって他の監督とはまた違う感じですか?

「違うね。オーラはみんなそれぞれあるから。監督:北野武っていうイメージも本人が作ったものじゃなく、まわりが作っているようなもの。でも、映画は自分が作ったもので、それは何本も撮って作り上げた世界であって、その経緯には素直に評したいですよね。作品を出してないと説得力がないし、そもそもオーラも出ようがないし。しかも、オーラって自分が出すものじゃなく受け取るものでもあって、人が感じるもの。その人に対する一種の評価だと思うんだよね。だから、別に北野映画が好きでもなくて、本人にも興味がない人にはオーラは感じない。彼を愛しているとそれは感じられる。僕は感じましたけどね」

――今作はそんな北野監督の3年ぶりの作品になりますが、これまでとは違った“やくざ”像が描かれていますよね。そのあたり、最初はどんな風に思いました?

「ホント、全然違うよね。コメディを作るんだろうけど、出演者が年寄りばかりだったし、最初はやっぱり笑っちゃったよね(笑)。『アウトレイジ』とか拝見してるけど、今回はそういったのとは違って、楽にできるって言ったらおかしいけど、気分的にはそういった作品。みんな誰でも楽しめるもので、出演してる方も難しいことをやってたら面白くない、とはいえ真面目にやってたけどね」

――真面目に楽しんでる感はありましたね。

「そうだね。ホント楽しかったよ」

――確かに出演者は年寄りばかりでしたが、そういったことってなかなかないですよね。

「ないでしょう、けったいな映画ですよ(笑)」

――そうなると現場の雰囲気とかも、他とは違ったりするものなんでしょうか。

「それは変わらないですね。若い人も年寄りもみんな役者だから。どこの現場も空気は変わらないし、すごくシリアスでしたよ」

――でも、そんなシリアスな現場であの物語はスゴいですね。中尾彬さんのポジションとか、他の作品では絶対見ることはできないと思います。

「(監督は)ちょっと普通の神経じゃないよね(笑)。役者もそうだけど、死体をあれだけいじっちゃうっていうのはね。でも、それが北野さんが『アウトレイジ』や『アウトレイジ ビヨンド』で僕に感じさせた一種のニヒリズムなんだろうなって思って。なるほど、これが北野映画なんだって感じたよね」

――『アウトレイジ』などとは違ったブラックさがありましたね。
「そうそう、もっと明るい感じのものだったり。ただ、映画が好きな人間にとっては何を撮ってもこれが北野映画だって言えるようなものがあって、それができるっていうのはスゴいよね。昔で言うところの黒澤映画だったり、会社で言えば松竹映画だったり、そういう1つのスタイル。型にハマってるわけじゃなく、いろいろなものを作るけど、そこには北野さんの色が出てるわけで」

――この『龍三と七人の子分たち』は、オレオレ詐欺がきっかけで話が進んでいくわけですが、すごく世相と近い部分がありますよね。

「やっぱり年寄りは金を持ってるからね(笑)。金のあるところには人が集まるわけですよ」

――まさか藤さんは被害にあったりはしてませんよね。

「ないよ。僕の場合は頭っから疑ってるから。でも、税務署から税金を還付するとか、役所の名前を出されると信じちゃうのもわかる気がするよね。すぐにレスポンスしないと叱られるんじゃないかって思っちゃうし。僕は幸い被害がないけど、家内なんかが電話に出て“はい……、はい”って言ってると心配しちゃうよね(笑)」

――この作品は藤さんにとってどんな作品になりました?

「僕はコメディをやったことがなかったら、今回出演できて嬉しかったね。でも、一番嬉しかったのはヒットしたこと。それが何より嬉しかった。このご時世、映画はなかなかヒットしないし、僕も何百本も出れるわけじゃない。その中でたくさんの人に見てもらえたっていうのは嬉しい限りだよね」

――映画のキャッチコピーでは“やっぱりジジイが最高”とありますが、藤さんにとっての理想のジジイ像とは?

「理想はないかな……もう、その日その日を生きていければいいし、仕事があればいい。何もないと龍三みたいに何かしなくちゃみたいな感じになっちゃうから。ただ、仕事もたまにいただければいいね」

――でも、藤さんも今回のヒットで忙しくなるのでは?

「そんなことはないよ、年寄りの役なんてしょっちゅうあるわけじゃないからね。それに、忙しすぎても嫌、本当にジジイになっちゃうから(笑)。適度にやっていけたらいいね。でも、本当に今回こういった作品に出られたことはラッキーだったと思う。映画を見て、みんなに笑っていただけて。やっぱり、笑ってもらうのって泣かせるより難しいと思うしね。今回は北野監督に拾ってもらって、みんなに楽しんでもらえる仕事ができた、それは幸運なことですよ。ありがたいです」

なお、今回エンタメプレックスではこの記事を読んでいただいた方に抽選で《ジジイが乗ってます♪ステッカー》&《オリジナルクリアファイル2種》の豪華セットを抽選で3名様にプレゼントします。タイトルに「【応募】龍三と七人の子分たち豪華セット」と記入し、本文に名前とメールアドレスを明記の上、info@entameplex.comまでメールをお送りください。当選者の発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます。(※応募締め切り:2015年10月31日まで)


『龍三と七人の子分たち』
DVD&Blu-ray 10月9日リリース

監督・脚本・編集:北野 武
音楽:鈴木慶一
出演:藤 竜也、近藤正臣、中尾 彬、品川 徹、樋浦 勉、伊藤幸純、吉澤 健、小野寺 昭、安田 顕、矢島健一、下條アトム、勝村政信、萬田久子、ビートたけし

2014年/日本映画/111分
発売・販売元:バンダイビジュアル
©2015 『龍三と七人の子分たち』 製作委員会

<関連サイト>
『龍三と七人の子分たち』 http://ryuzo7.jp
北野武監督作“初”のコラボアニメ化! 第一弾「龍三とYシャツと私」が解禁 https://www.entameplex.com/archives/24348