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樹木希林主演の感動作『あん』BD&DVD発売記念! 河瀨直美監督インタビュー


女優の樹木希林が主演を務め、ドリアン助川による同名小説を実写化した映画『あん』が、このほどBlu-ray&DVDで発売された。どら焼き屋“どら春”の雇われ店長の千太郎(永瀬正敏)と、“どら春”で働くことになる老女・徳江(樹木)の物語は、世界各国で感動を集めた魂のドラマ。監督は先日、第69回カンヌ映画祭で短編コンペティション部門、シネフォンダシオン部門の審査委員長の就任が決まった一報が届いた、河瀨直美。世界を舞台に創作活動を続ける河瀨監督に、映画『あん』で紡いだ自身の想いなどを聞いた。

――原作がある作品を映画化する作業は初めてということで、今までとの違いは?
 
「言葉を映像で表現する作業は単なる変換ではありません。映像は文章より具体的です。具体的なものから観客にとっての千差万別な記憶断片とどう向き合い、またそこから共感してもらえるものは何であるか……最後の最後まで悩みました。答えがないものを本物にする飽くなき追求ですね」

――完成した映画を観て、最初に思ったことは何ですか?
 
「一年が過ぎたんだな……と感じました。季節は巡り、また花は咲く、という感じでしょうか。初号試写には俳優全員がかけつけ、この映画の誕生を祝いました。嬉しかったです」

――自分では思いもしなかったメッセージを感じ取ったりはしましたか?
 
「息子の友達の母親が、徳江の“あん”を捨てるように今まで子供に教えて来たかもしれないと伝えてくれました。見なくていいもの、見えないふりをしていること、それらは世界を奪うことになりかねないと。難しい時代ではありますが、心を開いて、世界と向き合う無垢な人々の魂に焦点を当てた作品が次世代の子供を育む親世代にそういった観点で評価、共感されたことが新鮮でした。子供と一緒に鑑賞し、大切なことを語りあいたいという意見にもいろんな意味での可能性を発見しました」

――樹木希林さんとの撮影時のエピソードについてお願いします。
 
「少しお話しをしただけで、すべてを理解する方でした。台詞にもう少し抑揚がほしいと思ったシーンでのエピソードですが、『今日が最後の“どら春”での時間だとしたら、どうしますか? そのニュアンスを入れて、もう一回お願いします』と伝えると、少し考えた末、時間をかけて、エプロンを脱いできれいにたたんでかばんにしまうという表現をしてくれました。感動的な時間でした」

――最後に、映画『あん』をBlu-ray&DVDで初めて観る人たちにメッセージをお願いします。
 
「公開から10か月の時を経て、ようやく皆さまのお手元にお届けできる運びとなりました。多くの映画を愛する人々の力が結集して、この世に誕生した映画『あん』。原作小説のある物語ですが、映画独自の世界観をもって、小説と共にずっと置いていてほしい。そう願って特典映像にもこだわった自信作です! 千年先にも遺る作品になれればと願っています。
皆様のお手元で、末永くかわいがっていただけると幸いです」

映画『あん』のBlu-ray&DVDは、好評発売中!

発売元・販売元:ポニーキャニオン
© 2015映画「あん」製作委員会

<関連サイト>
映画『あん』 http://an-movie.com/
樹木希林主演の感動作『あん』BD&DVD発売決定! 河瀨直美監督のコメント到着 https://www.entameplex.com/archives/26459