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浜野謙太「バンドをやっているような感覚に近い」怪演冴え渡る映画『闇金ウシジマくん Part3』インタビュー


“ハマケン”の愛称で親しまれ、自身がリーダーを務めるバンド:在日ファンクで見せるミュージシャンとしての顔の傍ら、独特なセンスが光る演技で俳優としても存在感を放つ浜野謙太。

遂にシリーズ完結へ向け公開となった映画『闇金ウシジマくん Part3』(9月22日全国公開)で、浜野は情報商材と話術を巧みに使い秒速で何億も稼ぎ出す男・天生翔を怪演。原作のキャラの外見に似せるために肉襦袢をつけて挑んだ本作でも、衝撃的な演技を見せている。

“僕の場合、芝居もバンドをやっているような感覚に近いかな。うまく言えないけど、自分の中で一回翻訳する感じですね、音楽に”

ミュージシャンと俳優、二足のわらじを類希なるバランス感覚で履きこなす彼に、『闇金ウシジマくん』シリーズに出演して感じたことなど、いろいろと話を聞いた。

――今回、ネット長者・天生翔役を演じるにあたり何か役作りはされました?

「天生は生徒を集めて人前で講演したり、割とエンターテインメントに近いことをやっているので、特別何かを役作りとしてやるというよりも、ライブのつもりで演じました。どうやったら威圧感が出せるかとか、人としてのパワーを醸し出せるかということを考えましたね」

――現場で、山口(雅俊)監督からは何か要望はありましたか?

「やってみて難しいところはその都度山口監督と話し合って。監督曰く“天生は、まず否定から入るんだ”って。“好きな色は何ですか?”って聞かれたら、間髪入れず“無色!”って答えるみたいな(笑)。監督がイメージしていた天生像が面白すぎて、とても演じ甲斐がありましたね」

――その監督のイメージする天生像から、役をどう膨らませていきましたか?

「とにかく理詰めというか、あまり言葉の間を空けちゃダメだろうなと思ったので、予備校講師の話し方などを参考にしました。相手を“論破する”“言葉で打ち負かす”ような存在であるためにも、台詞自体、言葉の洪水のようにスラスラと完璧に出てくるように……と心掛けました。でも、撮影ではまぁまぁ噛みましたけど(苦笑)」

――かなり濃いキャラクターでしたが、実際に演じてみていかがでした?

「原作の漫画ではたぶん一回ぐらいしか出てこないと思うんですけど、“天生ポーズ”みたいなものがあって。それをやってみたら何だか楽しくなって、ことあるごとにポーズをするようになっちゃって(笑)。天生に群がっている“天生ガールズ”の子たちにも一緒にできるように教えて……アドリブで何回も“天生ポーズ”を決めていますよ」

――天生の塾生の本郷奏多(沢村真司役)さんとの絡みが多かったですが、印象はいかがでした?

「本郷くんはすごく気が弱そうな青年をリアルに演じてくれていましたね。フリーターの彼が天生の異空間に入ってくるミスマッチ感がすごく面白かったので、演じていて楽しかったですね。お互いの持っている世界観をぶつけ合うことをとても意識しました。台詞を掛け合うところなんかはある意味セッションをしているような感じで」

――確かに最後の壇上でのシーンは、ミュージシャンとしてのライブ経験が活きているような印象を受けました。

「僕の場合、芝居もバンドをやっているような感覚に置き換えてしまうというか。うまく言えないけど、自分の中で一回翻訳する感じですね、音楽に。あのシーンもジェームス・ブラウンが乗り移ったぐらいの気持ちでやりましたし。昔、バンドですごく調子に乗ってた頃の話なんですけど、自分たちのやっている音楽にとにかく自信を持っていたので、変な話、全裸でステージに立っても俺らの音楽を聴いてくれるだろうって根拠のない自信があって。それで、地方のライブハウスでライブをやったときに、全裸になって曲を演ったんですよ」

――それってガチの全裸ですか!?

「真っ裸で、ち○こ出して。そしたら、みんな下半身のほうばっかり見て、携帯で写真を撮りまくる人もいて、全然曲を聴いてくれなくて散々でした(苦笑)。自信をポッキリと折られちゃいましたけど、あのときの自分たちに“勝ってやる!”という気持ちでいつもステージに立っています」

――浜野さんが最近一緒に演じて刺激を受けた俳優はいますか?

「いっぱいいるけど、誰にしようかな(笑)。以前、ドラマでご一緒した唐沢寿明さんの演技はすごく刺激になりましたね。いつ役を入れているのか不思議に思うくらいすごく自然なんです。カメラが回っていないときの素の唐沢さんはちゃきちゃきな江戸っ子口調のような感じなんですけど、いざカメラが回って役を演じているときはその役になり切り、なおかつ素の唐沢さんの感じも役にしっかりと乗っているというか。自分の中に役を入れているのか、入れてないのか、“どっちなんだろう!?”って分からないくらいに自然で、いつでも役に自分を持ってこられるのがすごいなって。役者というフィールドではそれが当たり前なのかもしれないですけど、実際に目の前で見ると圧倒されました」

――俳優とミュージシャン、それぞれの活動から触発される部分も多いと思います。

「音楽での表現は本人でしかないようなところがありますけど、実は演じている部分もあったり……、お芝居とはまた逆からのアプローチの仕方もある。だから今回の役での演技もそうでしたが、天生という役を演じる役者としてのアプローチと、ミュージシャンとしての自分を天生にぶつけるアプローチ、そのバランス感覚のようなものは、やっていてすごく面白かったなと」

――秒速で億を稼ぐ天生のように、もしも湯水のようにお金があったら、どんな散財をしてみたい?

「自宅とは別に、もう一軒家を建てたいかな」

――大物ミュージシャンによくある自宅にスタジオを作る的な?

「自宅にスタジオはいらないかな……。別宅にスタジオを作ったら、そこで仕事もできるし、仕事場、エトセトラみたいな(笑)。今はそういうクリエイティブな場所や時間が欲しいですね」

――いろんなことから刺激を受けて、クリエイティブな作業に活かすと。

「今、子どもが3歳と2歳の年子なので、子育てが大変で……。家の中に自分の空間をどう作るかというのが課題……、ってか秒速で億を稼ぐ話が、いつの間にかすげ~ちっちゃい話になってるな(苦笑)」

――では、話を戻して、浜野さんの思う今作の見どころは?

「今回、特に藤森(慎吾)さんの演技が素晴らしくて、すごく引き込まれるんじゃないかな。作品を観て、 “こんな世界にいたくねえ!”ってぞわぞわっとした気分になってもらえたら嬉しいです」

――最後に、『闇金ウシジマくん』のシリーズに参加していかがでした?

「山田(孝之)さんのことがすごく好きで一度お話してみたかったので、撮影の打ち上げでは山田さんの行くところに付いていってましたね(笑)。でも結局、緊張しちゃって“天生ガールズ”の子とばかり喋っていたら、山田さんに“ハマケンさん、なんかその女の子が来てからすげ~饒舌になりましたね”って(苦笑)。それをきっかけに山田さんとコミュニケーションが取ることができて、ものすごく嬉しかったです。あとは、前野(朋哉)さんとも友達になりたくてLINE交換したんですけど、それっきりで……(笑)。今度、僕からグイッと誘ってみたいですね」

映画『闇金ウシジマくん Part3』は大ヒット公開中、『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』は10月22日(土)より全国公開。

© 2016真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん3」製作委員会
© 2016真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん ザ・ファイナル」製作委員会

スタイリスト:岡部俊輔(UM)
ヘアメイク:樋口あゆみ(CALM)

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