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平井堅、宙づりにファン大興奮


“2017 Special Live !!「THE STILL LIFE」”と銘打たれた平井堅のライブが19日、東京・日本武道館で開催された。

この公演は、主要配信サイトでランキング1位を記録し、ロングヒットとなった「魔法って言っていいかな?」をはじめ、昨年7月にリリースされた約5年ぶりのオリジナルアルバム「THE STILL LIFE」収録曲を中心に披露するというもので、大阪城ホールで2公演、日本武道館で2公演を開催し、トータルで36,000人を動員した。

1曲目はアルバム「THE STILL LIFE」収録曲の「グロテスク」。安室奈美恵をフィーチャリングしたことでも大きな話題を集めた2014年発表のシングル曲だが、ライブでは平井堅のソロバージョンとして歌われた。そして「style」「ソレデモシタイ」と、アップテンポのナンバーを3曲立て続けに4人のダンサーとともに披露し、場内をいきなりヒートアップさせたかと思いきや、4曲目でムードは一変。椅子に腰掛け、バラードの「魔法って言っていいかな?」をしっとりと歌い上げる平井に10,000人の観客は静かに酔いしれた。

日本武道館の2階スタンド席最後方の立ち見エリアまでぎっしりと埋めた観客をじっくりと、そして嬉しそうに見渡した平井は、「平日の日本武道館にお越しいただき、誠にありがとうございます。すべてを懸けて、明日……死なないですけど、明日死んでもいいくらいの気持ちで歌いますので、最後まで受け止めておくれ、武道館ボーイズ&ガールズ!」と、ジョークを交えながら挨拶。

その後、アルバム「THE STILL LIFE」に収められた「ON AIR」、久保田利伸がプロデューサー兼アレンジャーとして参加した2000年発表作の「Unfit In Love」、平井自身の作詞作曲としては初のチャート1位を獲得した2002年の大ヒット作「Ring」、今年3月に公開された映画 「ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険」の主題歌「僕の心をつくってよ」を披露すると、場内が暗転。インタールードの時間となる。

ノイジーなサウンドが鳴り響き始めると、ステージ両サイドと後方に設置されたLEDスクリーンにテレビのブロックノイズなど、これまたノイジーな映像が矢継ぎ早に映し出された。平井のパブリックなイメージとはずいぶんと違う演出のように感じられるが、そこで使用されていた音源はアルバム「THE STILL LIFE」の中では、いや、平井のキャリアにおいても異色のハードコア「驚異の凡才」のリミックス。

オリジナル以上の激しさと粗さが施されたアレンジは、思わず、平井のコンサート会場にいるのを忘れてしまうほどユニークなものだった。

そのインタールードが終了すると、真っ暗なステージ中央にすーっと平井がせり上がってくるやいなや、「告白」のイントロが始まった。

誰もが心のどこかに持つ闇、絕望を徹底的に歌い上げたこの曲は、真っ黒なケープに身を包んだ平井のスタイリングがさらなる不気味さをかもし出していたが、直後は一転。披露されたのは、クレディセゾンTVCMソングとしてオンエア中の新曲であり、大好きな“君”のことをやさしく、あたたかく歌った「ほっ」だった。しかも、ステージを下りて、歩いて移動したフロア中央の小さなサブステージで歌ったのである。

そこには平井がいるというだけで、特別な演出はない。“2017 Special Live !!「THE STILL LIFE」”は、あらゆる角度から平井の魅力を伝える構成となっているのだ。

平井がより身近に感じられるサブステージでのパフォーマンスは続く。

最近のライブでは完全に定番化した「リクエストコーナー」も行われた。選ばれたラッキーな観客が、自分が歌ってほしい平井のナンバーを要望できるだけでなく、平井としばしのトークが楽しめる人気企画で、この日は「Love Love Love」と「PAUL」がリクエストされた。

そして「Plus One」を歌い始めると平井は再び歩いてメインステージへ戻り、この曲と「somebody’s girl」を、これまた再びステージに登場した4人のダンサーとともにパフォーマンス。いうまでもなくサブステージとはまったく違う演出で、とにかく、今回の平井のライブはまるでジェットコースターに乗っているかのようなおもしろさ、スリルがあるのだ。

一方、今回に限ったことでなく、平井のライブで必ず楽しめることがあって、それは、CDでは打ち込みのトラックをバックに歌った曲は、ステージでは必ず生演奏で披露するということで、当然、CDとはまったく異なった響きとなる。たとえば「Missionary」がそれで、平井のバックを長年務めるメンバーとあって息はぴったり。タイトな演奏で見事に決めた。

また、ヒット曲や代表曲、もっというと、観客が歌ってほしいと願うナンバーで畳み掛け、その日のライブを最高潮へと導く終盤の構成もお馴染みである。

「君の好きなとこ」「かわいいの妖怪」に続く「POP STAR」では、初となる宙吊りパフォーマンスで万人を驚かせた。ワイヤーに吊られた平井が再びサブステージへ移動し、そして「KISS OF LIFE」でもう一度高く宙を舞いながら熱唱するポップスターの姿に観客は大喜び。

平井の過剰サービス、ここに極まれり。

大興奮のサプライズで本編が終了すると、アンコールの1曲目はキラーチューン「瞳をとじて」。序盤の「魔法って言っていいかな?」同様、静かに、しかし圧倒的な歌唱力で観客を魅了した。そしてラストは、この日本武道館でライブ初披露となった「ノンフィクション」。TBS系日曜劇場「小さな巨人」の主題歌で、本人曰く、「今年書いた曲です」。

十数年前までの平井堅は、発売されていない曲をライブで歌うことをほとんどしなかったが、ここ数年は積極的に披露していて、「ノンフィクション」を歌う前にこの曲が生まれた経緯をこう語った。

「今年、僕のプライベートで悲しい出来事があって、その気持ちを曲にしました。命について歌ったものです。幸せ、不幸せのカテゴライズは難しいけれど、そのボーダーラインで、死ではなく、生を見つめて書いた曲です」。赤裸々ともいうべき、感情をむき出しにした歌詞はあまりにストレートで、衝撃的でもあった。

その空気がまだ残る中、平井はいつものようにマイクを通さずに生声で「どうもありがとうございました!」というお礼の挨拶を叫び、ライブは終了した。

なお、亀田誠治プロデュースによるニューシングル「ノンフィクション」の発売日が6月7日(水)であることはすでに発表済みだが、さらには、ベストアルバム「Ken Hirai Singles Best Collection 歌バカ2」が7月12日(水)にリリースされることもこのたび決定した。

200万枚超のメガセールスを記録した2005年発表の「Ken Hirai Singles Best Collection 歌バカ」に続く第2弾で、こちらも「ノンフィクション」とともにこの夏の注目作となることは間違いないだろう。

Photo by 田中栄治

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