エンタメ×エネルギー、学生発のビジネスアイデアが集結
イノベーションを「エネルギー」という視点で読み解くことで未来を考えてゆくメディア「EMIRA」は22日、早稲田大学パワー・エネルギー・プロフェッショナル育成プログラム(PEP)とともに、ビジネスアイデアコンテスト「EMIRAビジコン2025 エネルギー・インカレ」を早稲田大学内にて開催し、EMIRA最優秀賞をはじめとした各賞の受賞者が決定した。
本コンテストは、早稲田大学を代表校に13大学が連携する5年一貫の博士人材育成プログラムである「PEP」と、「EMIRA」が共催。6回目の開催となる今回は、「エンタメ×エネルギー」というテーマで、ビジネスアイデアを全国の大学生・大学院生から募り、205チームの頂点が決定した。
EMIRA最優秀賞を受賞したのは、「TCGで伝える下水道とエネルギーの循環」について発表した中央大学・新潟法律大学校のチーム『Gゼミ~下水の道をひろげる者たち~』。受賞後のインタビューでは「下水道の魅力が、審査員の方々に伝わったのかなと実感できました。自分たちの活動は、今後もこの方針でやっていくべきだという自信にも繋がりました」と語った。また、KADOKAWA賞は『LJA』、TEPCO賞は『Uja-Uja-Mealworm』、優秀賞は『BL4S』と『すぎおファーム』が受賞した。
<EMIRA最優秀賞>
Gゼミ~下水の道をひろげる者たち~(中央大学・新潟法律大学校)
テーマ:TCGで伝える下水道とエネルギーの循環
発表概要:現在、下水道は「廃棄物を処理する事業」から「水をつくり、エネルギーをつくる事業」へと進化している。従来、廃棄物であった下水汚泥は下水道の力で電気へと大変身。さらに処理水も海の栄養源となりブルーカーボンの促進、地球温暖化への抑止力にもなる。下水道は、ただ水をつくりだすのではなく、エネルギーをつくり、ミライを守るカギになる。ミライの下水道は、まさに驚きとワクワクに満ちたユメの仕組みである。一方で、若年層に認知されず、ネガティブな印象を持たれているのはもったいない。そんな思いから下水道トレーディングカードゲーム「Circular economy 水 deck」を提案する。こちらは二人対戦で遊ぶゲームで、手札の「リソースカード」を使い、場に出ている「課題カード」を3枚獲得したほうが勝ちというルール。ゲームを楽しみながら、下水道事業、ひいてはエネルギー事業の未来を知ることができるカードゲーム。人手不足の土木系業界において、リクルーティングツールとしての活用も想定している。
<KADOKAWA賞>
LJA(学習院大学)
テーマ:聖地巡礼により地方の活性化を助けるアプリ
発表概要:国内外のアニメファンを対象に、アニメの聖地への道案内を、鉄道を利用した方法で行うアプリを提案する。このアプリを浸透させることで、地方への観光客と鉄道利用者の増加に繋がり、地域活性化と二酸化炭素排出量の削減に期待できる。このアプリには、大きく分けて5つの機能を搭載。1つ目はアニメの題名を検索することで、該当のアニメの聖地を地図上で確認できる機能。2つ目は出発地点と行きたい聖地を入力すると、主に鉄道を利用する移動方法を提案する機能。3つ目はマップ上にエコカーの充電スポットを表示するなど、エコカー利用を促進する機能。4つ目は、訪れた聖地の情報を口コミとして写真や文章で投稿できる機能。5つ目は英語・中国語・フランス語・韓国語のバージョンを選択でき、かつ外国語で聖地での過ごし方に関する注意点を表示する機能である。このシステムには、鉄道利用を証明する画像を送信することで、大手ポイント会社5社のうちいずれかのポイント還元を受けられるサービスも導入。アニメがもたらす経済効果は高く、財政力の上昇にも貢献できると考えられる。
<TEPCO賞>
Uja-Uja-Mealworm(早稲田大学・東京農工大学)
テーマ:家庭用ゴミ処理器の中でミールワーム飼育
発表概要:既存の家庭用生ごみ処理機にミールワーム養殖プラットフォームを組み込むことで、環境負荷の小さい廃棄物処理と持続可能な虫生産を両立する仕組みを提案する。ミールワームは食品廃棄物や一部のプラスチックを分解できることが科学的に示されており、装置が処理した廃棄物を餌にして成長する。装置はAIカメラとセンサーを搭載し、育成状況をアプリでモニタリングして、生育アドバイスを出力。また、飼育密度や生育データに応じて進化する仮想キャラクターをゲーム化し、利用者は生育アドバイスに従ってゴミを投入することでキャラクターを成長させ、ランキング形式でスコアを競い、上位者には専用ゴミ袋や交換キットなどの報酬が提供される。さらに、利用者は一切ミールワームに触ることなく、装置は育成されたミールワームを残渣ごと梱包された形で排出し、回収されてペットフード、水産養殖飼料等の既存の販路に活用される。
<優秀賞>
BL4S(早稲田大学)
テーマ:パズナジー
発表概要:新しいパズルの形「パズナジー」を提案する。これは従来のパズルの要素に加えて、謎を解く要素に電気を必要とするものの、電池を入れる場所がなく、あるのは不思議なパーツだけ。自力で実験をし、自力でエネルギーを加えなければ次に進めない仕組み。「開けゴマ!」と喋りかけたら箱が開いたり、パーツを組み合わせて風車になったりと、我々の想像力をさらに広げてくれると考えられる。狙いは、謎に直面した時に自然とエネルギーの作り方を実験して調べること。学生にはエネルギー問題について能動的に知るきっかけになり、ある程度の知識がある大人には新しい発想を生む種になる可能性がある。「パズナジー」は、エネルギーを自分で作り出すおもちゃであるため、今までスマホで消費していた分のエネルギーの節約にもなる。今後のエネルギー技術の発展とともに進化していく点も魅力のひとつであると言える。
<優秀賞>
すぎおファーム(国士舘大学)
テーマ:J-H4クレジット制度による農泊の新規財源
発表概要:J-クレジット制度を活用し、農泊の運営団体の新規財源獲得を目指す。森林や農山村を休暇で過ごすというエンタメ要素がある農泊の運営団体には、収益性および資金調達において2点の課題がある。1つ目は、収益性において、通常の観光業の1人1泊当たりの平均宿泊単価が2,236円低いという点。2つ目は、設備投資を中心とした資金調達が不可欠であるものの、補助金以外の自己負担・金融機関からの融資によって生じる事後的な資金繰りにリスクが生じてしまう点だ。こうした課題を解決するために、再生可能エネルギーのバイオマス固形燃料(木質バイオマス)による化石燃料の代替による認定量と、森林の森林経営活動よる認定量のクレジット売却から収益を得る方法を考案。メリットとしては、所有する未活用の自然資源を有効活用できるほか、導入コストの低さや、CO2排出量削減への間接的な貢献などが挙げられる。
なお、最優秀賞の詳しい発表内容は「EMIRA」で掲載予定なので、ぜひチェックを!
<関連サイト>
「EMIRA」
https://emira-t.jp/