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古タイヤに生命を宿すインタラクティブアート「TIRE+ART」の魅力

毎年、来る者に新鮮な驚きを与える国際的なクリエイティブの祭典「TOKYO DESIGN WEEK 2015(東京デザインウィーク)」が今年で30年目を迎える。今年は「インタラクティブ(対話性・双方向性)」をテーマとして、デザイン・アート・ミュージック・ファッションといった4つのカテゴリを軸とし、企業や大使館、メディアやクリエイターなどが参加してイベントを盛り上げる。普段、アートから縁遠い人々も気軽に参加できるため、家族連れが多いのも特徴だ。

なかでもひと際異彩を放つブースがTOYO TIRESの「TIRE+ART」。薄暗いコンテナ内の壁には、まるでスペースオペラのように多彩なCGが埋め尽くし、中央には黒々とした獣が鎮座する。

「TIRE+ART」は、韓国人アーティストのYong-Ho-Ji氏がTOYO TIRESの古タイヤを用いて制作したライオンの彫刻と、日本を代表するCGアーティストの三上宏幸氏(MIRAY DESIGN)によるインタラクティブ映像、そしてジャズアーティストとして、国内外から高い評価を受ける西村健一郎氏のオリジナルトラックが融合した作品だ。

細く切り取られたタイヤをより合わせ、筋肉の盛り上がりまでしっかりと表現するJi氏制作のライオンは躍動感にあふれ、今にも飛びかかってきそうな勢いだ。普段からタイヤ彫刻を手がけるJi氏は「美術館に展示するケースが多いけれど、こうしたコラボレーションは今回が初めてです。作品の違う一面が見ることができ、大変刺激を受けました」と感想を述べた。

Ji氏の作品は、実在する動物から架空の生物までモチーフがさまざまだ。Ji氏は、ギリシャ神話やアジアの物語からインスピレーションを受け、作品に落とし込むといい、「神話に登場するモノは、私たちの欲望から生まれます。伝統的なお話に基づくモチーフで、私たちの身の周りにある身近な材料(タイヤ)を使うことを大事にしています」と、こだわりを明かした。

Ji氏はタイヤを使う理由として「非常に分厚い力強さがある」とコメントし、「古いタイヤは捨てられるけれど、そこに新しい命を吹き込んでいきたい」と、強い眼差しでこちらを見据えた。

また、当イベントについては「韓国にはここまで大規模なものがありません。普段、美術館で私の作品を見てくれるお客さんとは違った人々の目に触れるのは大変うれしいです」と語る。

Ji氏が制作したライオンの目を覗き込むと、そこに生命の息づかいを感じることができる。最後にJi氏は「この作品は見る者によって異なる感情を呼び覚ましてくれる。ぜひいろいろな人に見て欲しい」と口にした。

「TOKYO DESIGNERS WEEK 2015」は、10月24日~11月3日まで、東京・明治神宮外苑絵画館前にて開催中。

<関連サイト>
「TOKYO DESIGN WEEK 2015」 http://tokyodesignweek.jp/2015/tokyo/