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舘ひろし&柴田恭兵が語る「あぶない刑事」リレーインタビュー最終回


あぶ刑事 リレーインタビュー、ラストを飾るのはやはりこの2人。
鷹山敏樹(タカ)、大下勇次(ユージ)を演じる真打ち、舘ひろしと柴田恭兵。
約30年に渡って繰り広げられてきた『あぶない刑事』シリーズも終幕を迎え、この2人は今何を思うのか。
現在、大ヒット公開中のファイナルムービー『さらば あぶない刑事』の内容も気になるところだが、それ以上に気になる“サラバだぜ”という事実。開口一番、それに関して聞いてみたところ……。必見! 舘&柴田が語る『あぶない刑事』とは……。

――今回は本当にラストということですが、終わることにもう悔いはありませんか?

舘「基本的にはない……というか、僕は人生丸ごと悔いばかりですから(笑)。後悔はないですね」

柴田「寂しさとかそういったことはないんですよ。今回は応援してきてくださったファンの方々に向けて、“終わりですよ”と最後のプレゼントができた感じもしますし、今はホッとしています。今回で警察を定年しちゃいましたから、もう最後ですね。」

――それが一番の驚きでした。タカとユージ、あの2人にも定年があるんだなって。

舘「それは、定年という時間的な制約を作ることが物語の上で必要だった、というだけのことですよ」

――今回の作品は公開前から大きな話題になっていて、改めてこのシリーズの人気を思い知らされましたが、『あぶない刑事』がここまで愛される理由はどこにあると思いますか?

舘「今こういうジャンルの映画ってないと思うんですよ。最近の映画は真面目すぎる感じもしますし。ハチャメチャな大人たちがエンターテインメントする、そういう作品が少ないので、それが支持されている気がしますね」

――それを30年間もやり続けたというのは本当にスゴいです。

舘「そのハチャメチャ度が難しいんですけどね。ハチャメチャじゃなくてはいけないと思う反面、やり過ぎると捕まっちゃうし(笑)」

柴田「本当はもっと年をとってから、それこそ70歳過ぎてから舘さんが元気だったらやろうかなって僕は思ってたんですよ。そしたら、もう体力がないとか言い訳もできるわけで。でも今回やらせてもらって、大変は大変でしたけど、今一生懸命頑張るのもかっこいいんじゃないかなと思って」

舘「60歳を過ぎて体力ももう少し落ちるかと思ったら、それなりにできちゃったんだよね。きっと、70歳過ぎてもできちゃうと思う(笑)」

――となると、80歳を過ぎたらもう一度挑戦というのは……今度はいろいろな意味で“危ない”っていう(笑)。

柴田「いいね、それ(笑)」

舘「やらないよ(笑)」

柴田「鼻にチューブとか付けてね(笑)」

舘「バイクの代わりに車いすでショットガンとか(笑)。ただのコメディになっちゃうから、それはよくないよ(笑)」

――失礼しました(笑)。ちなみに、今回撮影中に何かハチャメチャなことはありました?

舘「言えない(笑)。僕の人生自体はハチャメチャですけど(笑)」

柴田「最初のころは、それがそのまま出てたけどね(笑)」

舘「この作品の中でハチャメチャなのは恭様(柴田恭兵)だと思いますけどね。ただ、実生活は全然違うけど。僕は実生活がハチャメチャなので、『あぶない刑事』では抑えた芝居をしているんです(笑)」

――今回は撮影前にみなさんでミーティングをしたと伺ったのですが。

舘「これまで『あぶない刑事』というのは非常に軽く仕上げようとしていて、辻褄が合わないこともジョークでごまかしたりしていて」

柴田「ミサイルが飛んできたり、最後にタンカーを両手で止めちゃったりね(笑)」

舘「そう。でも、今回はちゃんとしたハードボイルドというか、原点に回帰しようという思いがあったんです。最初に台本を読んだら、やっぱりおかしいところもいっぱいあって、それで監督、プロデューサー、脚本、柴田、舘と集まって。そういったことは珍しいというか、初めてでしたね」

――そのとき柴田さんは?

柴田「なんとなくアドリブも考えていたので、それをもう少し膨らませますよって話はしました」

――そんなに早くからアドリブを考えているんですね。

柴田「最初に言っておかないと尺の関係もあるからね。カットされないように(笑)」

――作品としては、2005年公開の『まだまだあぶない刑事』以来、約10年ぶりとなりますが、おふたりは事前に何か準備とかしていたんですか? 改めて体を鍛えたり。

舘「一切してないですね。撮影当日の朝行って、ちょっとならしてそれで終わり」

柴田「僕は草野球をずっとやってますから。夢は70歳になるまでに3割打ちたいなと。ただ、テストを含めて今回は結構走りましたね。アクションも最後だから頑張って。どうせならテロップいれてほしいですよね。アクションシーンのところで実年齢何歳って(笑)」

――やっぱり現場に入るとすぐにタカとユージになれるものですか?

舘「現場で会って、おはようって言った瞬間にタカになれます」

柴田「僕もそうですね」

――前日は意識されたりします? 明日会える、ドキドキみたいな(笑)。

舘「ないですね。普段から柴田恭兵という俳優をいろいろな作品で見たりして、尊敬や憧れみたいなものはありますけど、現場で一緒になったらタカとユージだし。でも、それはそういったファンダメンタルな気持ちがあるからこそだと思いますけどね」

柴田「僕も舘さんのドラマやコンサート見て、色っぽいな、本当にダンディーだなって。次に会うときも絶対そうだから、そこをアドリブでつつけば何か出て来るぞって思うんですよ。きっと、舘さんの引き出しを最初に開けたのは僕だと思います。アドリブとかで」

舘「僕は、柴田恭兵のおもちゃと言われてますから(笑)」

――タカとユージを本人と比べてみていかがでしょう?

舘「恭様は現場に行くと必ず台本読んで、どうセリフを言うか、どうアドリブをするかちゃんと勉強してるんですよ。それでセリフも間違えないし、どんなアドリブにも対応する。その真面目さとユージの一過性のいい加減さは相当違うと思いますね」

柴田「役者として、僕はいろいろな引き出しがあるんですよ。ただ、どこに何を入れたか忘れちゃうんですけど(笑)。舘さんは引き出しが1つしかないんです。でも、その1つの引き出しがすごくて」

舘「そう。でも、何か入ってるかと思えば何もないっていう(笑)」

柴田「ただ、『あぶない刑事』はかっこいいしクールなんだけど、温かいんです。それは舘さんが醸し出してると思います」

――確かに。あとはファッショナブルなイメージもすごくありますね。

舘「それはもちろん。今回、特に気をつけたのはとにかくハードボイルドでスタイリッシュでファッショナブル、この3つは絶対にキープしたかった。ただ、ファッショナブルと言ってもいろいろなファッションがあって、今の流れはタイトな感じだけど、そうなるとハードボイルドとは少し離れてしまう。だから、そのあたりの折り合いはしっかり付けたいなと。個人的なスーツはもっとタイトなんですけど、この作品に関しては少しルーズにして、拳銃とかも入れられて、ちょっと太めのハードボイルドな感じを出すようにしました。ただ、それでもスタイリッシュでいたいので、そのバランスは考えましたけどね」

――恭兵さんはちょっと艶っぽい衣装が多いですよね。

柴田「ちょっと色っぽくて危険な香りがする感じ、それはすごく気に入ってます」

――この『あぶない刑事』シリーズを30年間やってきたわけですが、おふたりにとってどんな存在ですか? 以前、仲村トオルさんに伺ったときには“故郷”とおっしゃってましたが。

舘「僕は帰る場所というよりも、進めてくれるというか。恭様との共演も含めて、自分をもう一歩前に進めてくれる作品だと思いますね。彼との共演はいつも新しいものがあり、吸収するものがたくさんあるんですよ。恭様にしてみれば、教えることがいっぱいあって忙しいかもしれないけど(笑)」

柴田「いやいや。僕は舘さんにウケるにはどうしたらいいんだろうとしか考えてないし、舘さんにウケたら世界中に通じると思ってますから(笑)。でも、そんな『あぶない刑事』をやることで僕は不思議と元気になるんですよね。他にも一生懸命やって手応えを感じる作品はたくさんありますけど、そういうものとはまた違う。『あぶない刑事』は現場に行けば若返るというか元気になれる、そんな作品ですね」

映画『さらば あぶない刑事』は、大ヒット全国公開中!

© 2016「さらば あぶない刑事」製作委員会

<関連サイト>
映画『さらば あぶない刑事』 http://www.abu-deka.com
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